ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: -KILLERS キラーズ-3話までUP ( No.7 )
日時: 2011/01/29 09:57
名前: 天使の部屋 (ID: BZFXj35Y)

EPISODE1−3




【歓楽街  “ナイトストリート”】



喫茶店から歩いて30分。2人は渋谷109の前に来ていた。すでに6時を過ぎ、辺りはネオンで染まりつつある。
人が行きかうスクランブル交差点を渡りながら、真奈は男性に声をかけた。

「あの、名前は?」

「佐久間一郎。それより、家の方は大丈夫なのか?」

「…………別に、大丈夫です。」

真奈は一瞬表情が暗くなったが、笑顔で佐久間に言った。佐久間は鼻で笑うと、真奈の制服をジロジロ見る。
真奈は佐久間の異変に気付くと、首を傾げて佐久間の顔を見た。

「何ですか?」

「今から顔を隠してついてこい。」

佐久間はそう言うと、歩調を広げてビルとビルの間の暗い路地に入った。真奈も顔を下に向けて路地に入る。


路地の中に入ると、辺りは一変した。


    明りはなく、まるで闇の中を進んでいるような感じだ


そして、薄暗い路地から抜けた。


**********


「うっ………わぁ……すごい…………」


真奈は目の前に広がる光景を見て唖然とした。



“歓楽街 Knight Street”


電飾で飾られたアーチ、若干広めの通りの両脇は、どこもかしこもネオンで鮮やかにコーティングされている。
通りには刀を腰に付けている殺し屋、奇妙な仮面で顔を隠した殺し屋、まるで秋葉原の様な光景だ。

「ここって秋葉原ですか?」

「違う。簡単にいえば裏の渋谷。殺し屋が集う‘ナイト ストリート’という場所だ。」

佐久間と真奈はアーチを超え、真奈はずっと辺りの光景に目を奪われていた。すると、ある人物に声を掛けられた。



「やっほ!!君若いね♪新米の殺し屋かい?」



「え?えっと………」




「依頼人だ。丸坊はさっさと依頼に行って来い。」



絡んできた若い男と真奈の間に、佐久間がズカズカと入り込んできた。男は佐久間を見て表情を変える。

「佐久間先輩、俺の名前は多々丸秋斗ですよ!!丸坊じゃないです!!!」

髪を金髪に染め右耳にピアスをした、いかにもチャラそうな[多々丸 秋斗]は佐久間に言い放つ。
佐久間は多々丸の顎を掴み、自分の顔に近づけた。

「失せろ。」

「は、はい…………」

佐久間の威圧感に恐れ入った多々丸は、足早にその場から歩き去っていった。佐久間は振り向き、再び歩き始める。
真奈も急いで佐久間の後ろをついて行く。だが、佐久間はすぐに足を止める。真奈は背中にぶつかった。


「ここだ。‘KillKill.COM’の図書館とでも言っておこう。」


佐久間が指さす方向には、4階建ての殺風景なビルが建っていた。窓は全てカーテンが閉まり、中は見れない。
ビルの1階には、「依頼管理庫」と赤いペンキで雑に描かれている。

「ここは何ですか?」

「今までの依頼が詳細にファイルにされて管理されてある場所だ。ここで、お前の両親を殺害した殺し屋が分かる。」




「それって、パパとママの殺しを頼んだ人も分かるの……?」



佐久間は真奈の質問に口を瞑ったが、無言で頷いた。佐久間は真奈の肩に手を置くと、ゆっくりと話し始めた。

「覚悟はあるか?もし依頼人が身内や知り合いだったら、お前は人間不信になるかもしれないぞ?」

「………大丈夫です。覚悟はあります!!!」

真奈は目をカッと開き、肩に乗った佐久間の手を握って頷いた。佐久間はその時、少しだが微笑んだ。
佐久間も頷くと、真奈の頭を優しく撫でた。



「……………いな。」



「え?」



「行くぞ。」



佐久間はなぜか焦った様子でビルの中へと入っていった。だが、真奈には佐久間の言葉が聞こえていた。
真奈は可愛らしい笑顔で佐久間を見ると、佐久間の言葉を復唱した。

「‘お前は強いな’……そうでもないよ………」

真奈は微笑むと、佐久間の後を追って建物の中へと入った。