ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 「死 人 花」 ( No.12 )
日時: 2011/01/30 08:47
名前: 霧雨柚乃 (ID: MQ1NqBYl)

朝凪唯子の部屋 −祐介− 

午前1時03分。
ボクは今、唯子姉ちゃんの部屋の前に来ている。
さっき皆に言ったとおり、監視カメラ音声付の作成を依頼するためだ。
杏奈姉ちゃんや母さんが行っても、多分唯子姉ちゃんは会わない。
だからボクが行くのだ。

正直、凄く嫌だけど。

二階の唯子姉ちゃんの部屋の前で深呼吸する。
そして、部屋の扉をノック。
6回しないと唯子姉ちゃんはボクにも会わない。
何故なら、ノックは6回と打ち合わせをして決めたからだ。
ボクと。
だから、6回。

コン、コン、コン。

ぎぃぃぃい、と音を立てて扉が開いた。
かなり古くなっているから、修理しないとだめだな。

「何だ」

目の下にクマが出来ている。
また昨日も夜遅くまで勉強、あるいはパソコンを使っていたのだろう。
いや、ボクのラノベを読んでいたかもしれない。
漫画っていう線もある。
今はそんなことどうでもいいか。

「依頼があって来たんだけど」
「嫌だ。帰れリア充」

リアルなことを言ったらすぐコレだ。
まあ、その分扱い易いけど。

「監視カメラに音声を付けてほしいんだ。というか音を録音できる機能を、かな」

とたんに唯子姉ちゃんの顔が明るくなった。

「やる。2、3日待て。もう開発が最終段階だからすぐ出来る」
「ありがと!」

本当に嬉しそうな顔を作って、ボクは言った。
こういう顔をしてもばれないように作り笑いの練習してるんだ。
今のはかなり効いただろう。
唯子姉ちゃんの顔がさらに明るくなった。

「じゃ、2、3日したら来い。ノックは6回だぞ」
「分かってるよ」

ボクは唯子姉ちゃんの部屋から出た。