ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 「死 人 花」 ( No.15 )
- 日時: 2011/02/01 21:02
- 名前: 霧雨柚乃 (ID: JP5iH4Hy)
・・・が。
一向に手がかりは見つからない。
というか0!
全く無い。
そりゃそうだ。
だって62年も前なんだから。
戦争が終わって数年っていう時の話なんて調べても出てくるはずがない。
「当然といえば当然の結果だよ」
と祐介は言っていた。
オレは祐介に一票!
それより、オレは今ピンチという状況かもしれない。
いや、ピンチという状況だ。
だって今オレはあの人の部屋の前にいるんだ。
そう。あの人。
「嫌だぁぁぁぁあ!!!!!無理無理無理!」
「嫌だって・・・もうここまで来ちゃったでしょ!」
「だって唯子さんって変人なんだろ!?会いたくねぇぇえ!」
「うるさいなぁ。私もやなんだから」
「じゃあやめようぜ!」
・・・こんな感じ。
お察しの通り、オレは今唯子さんの部屋の前にいる。
絶対に入りたくねぇ。
入るくらいならゴーヤ100本食ったほうがマシだ!
「さ、入るよ!」
「いーやーだー!!!」
嫌がるオレを無視して、杏奈は部屋の扉を開けた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
中はパソコンと機械の部品、本(しかも英語だ)、人形(西洋人形っていうのか?)で埋め尽くされていた。
これには言葉を失った。
部屋の中央のベッドで、唯子さんと思われる女性はオレ達を見つめていた。
祐介に似た綺麗な顔立ち、杏奈に似た目と髪の色。
この人自身が人形みたいだ。
「何のようだリア充」
・・・。
りあじゅう?
りあじゅうって何?
「え、と。オレは・・・」
「鈴村智影14歳。私の従姉弟で夏休みだけ婆様の家に居候している少年。だろう」
「う、あ、はい」
何だこの人。
杏奈が言っていた変人とはこういう意味だったのか。
しかしりあじゅうって何だ?
「お姉ちゃん」
杏奈がためらいがちに言った。
「連の事件のことで、協力してくれるって聞いたんだけど・・・」
「そうだな。62年前男性の殺人事件を調べているのだろう。もう調べておいたぞ」
畏れ。
このときのオレ達の状態を言葉で表すと、これがぴったり当てはまるだろう。
それほどにオレは畏れた。
この唯子さんという引きこもりを。