ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 「死 人 花」 ( No.5 )
- 日時: 2011/01/28 20:50
- 名前: 霧雨柚乃 (ID: 3iZuTr1t)
翔太の部屋は散らかっている。
そこらじゅうにプリントだの脱ぎ捨てた靴下だの服だのが散らばっている。
当然机の上もグチャグチャだ。
教科書類がテキトーに置いてある上にスナック菓子の袋がほうりなげてあったりした。
翔太はドカッとベッドに座り、あぐらをかいた。
オレはそのへんのイスに座る。
何かいつに無く翔太が真面目だ。
「なあ、死人花って知ってるか?」
死人花。
勿論知っている。
「うん。知ってる。ばあちゃんが杉野町のことを『死人花の咲く町』って言ってたけど」
「さすが杉野町の長だな」
「で、何で死人花?」
「いや、それがさ・・・」
一瞬ためらうような表情をして、翔太は続けた。
「クラスメイト、殺されたんだ。ひとり」
「なっ・・・!?」
ちょっと此処でその言葉かよ!
しかも殺されたって・・・
「そいつが死ぬ直前、死人花がどうかとか言ってたらしいんだよ。で、オレ調べたんだ。死人花」
「どうかしたのか?」
「死人花って彼岸花のことらしいんだ。それが何処かの地方では死人花って言うらしくてさ」
彼岸花・・・。
赤い不思議な形をした花を咲かせる、有毒の植物。
赤だけじゃなくて、白とか黄色もある。
ばあちゃんは彼岸花の咲く町って言いたかったのか?
「ところでその犯人、捕まったのか?」
「いや、まだ。ぜんぜん分かんないみたいだ」
「で、彼岸花がどうしたんだ?」
「いや、別にどうにも。全く関係ないはず」
「なんで『はず』だよ」
「そいつが死人花って言ったから調べただけだから、多分関係ない。でも何かおかしくないか?」
確かにおかしい。
もし最後に言葉を残すなら、犯人のことを言う。
でも何で彼岸花なんだ?
「確かにおかしいな」
「だろ?だから智影に頼みがあるんだ」
「何?」
「これ、俺達で解決しねえか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
こいつ何言ってんだ。
つーか解決できるわけがないだろうが。
「無理だろ。ぜーったい無理」
「しないといけないんだよ!!!」
「なんで?その同級生、お前と仲良かったのか?」
「オレどころかだよ」
「は?杏奈もか?」
「・・・まあな」
聞こうか聞かないか少し悩んだけど、聞いてみた。
「殺されたのって誰なわけ」
次の答えに絶句して、気絶するまであと10秒。
「園崎連」