ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕たちの求めた絶望色〜赤・白・黒〜 ( No.60 )
日時: 2011/02/18 21:27
名前: 色茱萸 (ID: wJNgr93.)

第八話

施設から歩くこと約1km。

人気もなく、街灯もあまりない暗い道を

私はただひたすらまっすぐに歩いてゆく。

まるで、自分の心とは正反対だ…

そう思いながら。


しばらくその暗闇の中を進んでゆくと

一軒のコンビニエンスストアが見えてくる。

孤立しているため、あまり人が入ってくるような

場所ではないが、学生や一人暮らしの男性などが

暇つぶしに利用している。

私はそんな暗い印象しか持たないコンビニの

従業員などの関係者しか立ち入ることのない裏口へ隠れ

ひっそりと息を殺して、

『ターゲット』を待っていた。


言い忘れていたが、私は小さなハンドバッグを

右手に抱えるように持っていた。

その中身のモノは、お互い邪魔だと言わんばかりに

私が動くたびにガチャガチャという効果音を響かせた。

少しそのバッグが邪魔になった私は

その場にそっとバッグを下ろすと

再び息を潜めた。


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しばらくすると、コンビニの入り口から

一人の男性が出てくるのが見えた。

30代後半くらいだろうか。

男の姿を確認すると私は、ニヤっとした表現の

ピッタリと合う笑い方をした。


『  タ  ー  ゲ  ッ  ト  ハ  ッ  ケ  ン  』


私に気づかず通り過ぎようとした男の背後に近づくと、

私は手持ちのハンドバッグから金属音のするモノを

そっと取り出した。

それはキラキラと月に照らされ

妖しく光る 一本の刃物…


その刃物を私は、男の心臓部に当たる箇所へ

そっと当て深く、だが勢いよく突き刺した。

勢いよく貫かれた男の身体からは、

深紅の液体が噴き出す。


この瞬間、私はたまらなく胸が苦しくなる。

歓喜の気からか、それとも……————




月夜に妖しく舞い散る


真っ紅な   私の赤


この血が いつの日か


あの男の…


『ディアーブル』の………———————