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Re: 僕たちの求めた絶望色〜赤・白・黒〜参照300突破!? ( No.68 )
日時: 2011/03/09 20:22
名前: 色茱萸 (ID: wJNgr93.)

第十三話


それから数日して…

私はある決心をした。



『ディアーブルを殺すこと』



この決心は、春にも内緒のことだった。

一人で色々悩んで 苦しくて 辛くて…

心の中で、私の中の天使と悪魔が激闘を繰り広げていた。


ディアーブルは 私をこの世に生み出してくれた。

ディアーブルは 両親の仇、憎い人物。

アイツは 施設へ私を預けてくれた。

アイツは 私の幸せを奪った。


あいつは…ディアーブルは、私以上に悩んでいたのだろう…

もしかしたら両親のことだって 後悔しているかもしれない。

けれどもう私は ディアーブルという人間そのものに関わりたくないのだ…————



結局私の頭は、更に一週間悩んだ末に

春にもこのことを打ち明けようという結果を叩き出してくれた。

そして、その翌日の朝。


「あ、美紗おはよっ」

「…春ちゃん、おはよう」

「?…元気ないね、どうしたよ?」

「うん…今日もちょっと…その」

「話がある?アイツのこと?」

春は私の思っていることを何でも当てちゃうから、ちょっと怖い。

…まぁ私が思っていることを

すぐ顔に出しちゃうってのもあるんだけど…

いつも話をしているベンチへ腰掛け、

私が言いにくそうにモジモジしていると

春が顔を覗き込みながら

「どうしたの?言いにくい話なの?」

そう優しい声で訊ねてくる。

最近発見した、春の癖…

この仕草も今日で見れなくなるかもしれない…

「春、ちゃん…実はね…私、ディっ…ディアーブルを…っ」

————殺すって決めたの…

そう告げる前に私は、目から涙が溢れ出て

その言葉を春に伝えることはできなかった。

視界が滲んでゆく中、春の驚いた顔がうっすらと見える。

「…美紗?」

「ぅ…っ私、最低よ…汚い!醜いわ…ッこんなに自分が汚れていたなんて…ひっくッ!知らなかったわ!!春ちゃ…ごめッ…!!!??」

泣いている途中に

場違いな衝撃が襲ってきた…

突然の後ろ首への衝撃。

何がなんだか理解できないまま

私の意識は そこで途絶えた……————


春の叫び声と


頬に落ちてくる温かい雫


それがどうしてなのか


私が知るのは



もうすぐ先のこと………————————