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第一話

真っ赤…真っ赤…　　ほら見て？

今の私には　赤一色、この色しかないのよ…？

昔はあんなにいろんな色を　

見てきたっていうのに………


　私の『色』を奪った…あの男がとても憎いわ…


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「ねぇママ…ここどこ？わたしたち殺されちゃうの？」

人気の無い真っ暗な倉庫の中で

手足を縛られ目隠しをされた私たち家族は

自分たちのいる場所さえ知らず、助けを待っている最中だ。

「大丈夫よ…美紗は殺されたりしないわ。

ママが絶対に守ってあげるからね？

お利口にしてるのよ？」

「…うん。ねぇママ…パパは？パパはどこなの？」

「ッ…パパは…」

母が震える声で何か言いかけた瞬間、勢いよく倉庫のシャッターを開ける音が聞こえた。

硬質な靴の音がこちらへ向かって歩いてくる様子が、

目を隠されても窺える。


「やだ…いや…ッ……助けて…助けてぇぇえッ！」


死にたくなくて、ただ生き抜くことだけが頭にあって

私は叫んだ。





———相川家は父・母・私の三人家族で、ごく普通の平凡な家庭だった。

優しい母と、厳しい父。そして少しだけ我が儘だけど、泣き虫な私。

だけど、その大切で幸せな家庭を

私は他人に奪われた。


否、あいつは……————