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Re: 僕たちの求めた絶望色〜赤・白・黒〜参照400突破!か、感謝! ( No.89 )
日時: 2011/03/26 15:46
名前: 色茱萸 (ID: wJNgr93.)

第十九話〜美紗視点〜


ここは、どこなんだろう。

気づいた時、私は見知らないところへ立っていた。

夥しいほどの数の死体と、

真っ赤な血の色に塗りつぶされた世界。

不思議と恐怖は感じなかった。

「そっか…私、死んだんだ」

『目の前にいる死体たちが、誰なのかが分かる?』

突然部屋に響いてきた女性の声。

いきなりのことに頭がついていけない私に

再び女性が話しかけてくる。

『その死体はね、今まであなたが殺してきた人たちなんだよ。部屋の血の色はその人たちの憎しみの色…あなたに対する、憎しみの色…』

聞き覚えのないその声に、背筋が思わず寒くなる。

「私、死んだのよね?どうして生きてるの?」

『生きてなんかない。…上を見てごらん』

女性に言われた通り、私は自分の頭上を見上げた。

そこには、大声をあげて泣いている春の姿と

赤に染まり、横たわる私の身体があった。

近くには、地面に伏せ泣いているディアーブルの姿もある。


哀しんでいた。


二人とも…

私のせいで…

そのとき、春が泣くのをやめて静かに口を開いた。

「…美紗昔さ、言ってたよね…自分は産まれた時に泣いていた。そして、周りにいる人たちはみんな笑顔で笑っていたって…だから、自分が死ぬときは、自分が笑って 周りの人が泣くような、そんな生き方がしたいって…ッ!!!ねぇ美紗…そうなったよ?美紗の言った通りになった!でも…周りの人は、悲しいんだよ!?美紗ぁ…!!!!!」


春の言葉を聞き終わる前に、

私は涙を零した。

「ごめんね…ッごめんね春ぅッ!!」

『分かった?あなたは人をたくさん傷つけてきた。そしてそれは、自分の大切な人にも被害が及んでいた。だから、あなたが今やるべきことに自分で気付かないと、この部屋からでることは許されない…』

「ちょっと待って!あなたは誰なの!?姿見せなさいよ!」

『残念だけど、私にはもう形などない…私の名は歩武。斉藤歩武…あなたたちが産まれる遥か昔、江戸時代へ生きてきた。そして、大切な人とともに死んだの…悔いはなかったけれど、それ相応の罪はあったようだね。こうして未だ成仏できないでいる』


斉藤、歩武———?


聞いたことがある。

確か、鬼の男に恋をして

惑わされ死んでいった哀しき人…


「…大切な、こと…」

『頑張って考えてね?その答えが、あなたの答え。あなたのこの先の、大事な答え…』

そう言って歩武は消え去った。

姿は見えないが、声が途絶えたので多分そうだろう。

私はひたすらに考えた。

彼女の言う大切なこと、答え。



そうして何日か経ったある日。

(正確には日付けはないのでわからないが。)

私は色々なことを絞り込んで

一つの答えを導き出した…———