ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─ESP remake version─ ( No.3 )
日時: 2011/01/29 23:38
名前: 遊太 (ID: BZFXj35Y)

02【超能力専門会社‘アビリティ’】


「痛っ!!」


天馬は床にたたきつけられた衝撃で目を覚ました。天馬が上を見上げると、気絶前に見た女子高生が立っていた。


「やっほー♪目覚めた?」


「お前!!何のつもりだ!!」


天馬は両手を炎で包み、女子高生に両手を向けた。しかし、女子高生は平然とした表情で天馬の両手を見る。
「パイロキネシスねぇ〜。安心して、敵じゃないわ。私は松本亜樹。この会社の社員よ。」
「この会社………?しゃ、社員?」
天馬は手の火を消して辺りを見渡す。最初は気がつかなかったが、大理石の床に赤い絨毯が敷かれた足元。
ホテルの様なエントランスを見て、天馬は呆然となった。なぜ、こんなところに自分がいるのか分からない。
「とりあえずついてきて。社長に会わせるわ。」
「ちょ、ちょっと待てよ。思い出したけど、お前さっき電気を………」
「あなたと一緒よ。私も能力者。ほら、早く!!」
亜樹は天馬の腕を掴みエレベーターに乗ると、そのまま社長室を目指した。


**********



最上階13階 社長室



エレベーターが音をあげて開くと、目の前は出てすぐ社長室になっていた。


「おぉ。来たかね。」


全壁窓張りの社長室のデスクの奥に、福与かな体系をした社長らしき年配の男性がいた。
「社長。この子が例の能力者です。」
「そうか、そうか。よく来たね!!海藤天馬君!!」
社長の冥堂龍之介は天馬に歩み寄ると、握手を交わした。天馬は再び呆然となって冥堂の顔を見つめる。



「ようこそ。超能力専門会社‘アビリティ’へ!!」



社長は微笑み、天馬を見ながらソファーに指さす。天馬は亜樹に背中を押され、しどろもどろでソファーに座った。
「あ、あの・・・てかここどこですか?」
「ここは渋谷区に建っている。君の家から1時間くらいの場所だ。」
「は、はぁ・・・・」


「社長!!」


亜樹は冥堂を見て大きく叫んだ。冥堂は話が逸れたことに気がつくと、頭を触りながら軽く頭を下げた。
「失敬。で、本題だが、君にはこの会社で働いてもらう。」
「は!?」
天馬は冥堂の突然の言葉に返す言葉が見つからない。
「心配はない。活動期間は休日、祝日。勿論、給料も出る。能力者は強制勤務だ。」
「なんで俺が能力者だって分かったんだ・・・ですか?」
天馬は敬語で話し始める。亜樹が後ろで吹き出し笑いをする。
「病院に知り合いがいてな。そいつに頼んで時折調べてもらってるんだ。で、君のDNAで分かった。」
天馬は首を傾げた。冥堂の説明が今一理解できない。
「能力者は一般の人とDNAの構成が違ってね。とまあその話は終わって、どうだね?」
「どうだねと言われましても・・・・・」
天馬は唐突すぎる出来事に思わず亜樹を見た。亜樹は天馬の表情を見て口を顰める。

「社長。突然すぎましたね。後日、改めて来てもらいましょう。」

「そうだな。」

どうやら冥堂は最初から天馬の心境を読んでいたらしい。亜樹は天馬に会社の名刺を渡した。
「今日はすまないね。やり方が乱暴すぎた。」
「い、いえ・・・でも・・・・」
天馬は何かを言おうとしたが、顔を赤らめて恥ずかしがる。
「どうしたの?」
「い、いや。じゃあまた今度。」

そして天馬は、亜樹に見送られながら会社を後にした。