ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─ESP remake version─ ( No.9 )
- 日時: 2011/01/30 12:56
- 名前: 遊太 (ID: BZFXj35Y)
05【クライム】
超能力専門会社‘アビリティ’
会社の前に車は止まり、天馬、亜樹、三郎はすぐに社長室へ向かった。
社長室に着くと、すでに社長は仕事に必要な資料をまとめて席に座っていた。
「よく来たね。その様子だと、天馬君はここで働くつもりかな?」
冥堂は天馬の生き生きした表情を見て察知したようだった。
「はい。お世話になります。」
天馬はお辞儀をすると、冥堂は頷きながら仕事の資料を渡した。天馬は資料を受け取り、三郎と亜樹に渡す。
「これが今回の?」
「うむ。どうやら、犯人はクライムという男らしい。」
「クライム・・・・?」
三郎は聞いたことのある言葉に頭を捻る。
「罪・・・・っていう意味よ。」
亜樹が言うと、三郎は思い出したのか納得する。
「彼は東京の渋谷区。この区に住んでいるようだ。」
「ならば、今すぐにでも行きましょう!!」
三郎は3人に言う。しかし、冥堂がすぐに止めた。
「ダメだ。さっきほかの社員から聞いた情報だが、彼以外にも能力者がいるらしい。」
冥堂の言葉に全員は表情を変えた。
「ほ、ほかって、クライムという能力者以外にもですか!?」
「あぁ。草屋の情報だ。間違いないだろ。」
天馬は‘草屋’という人物が気になったが、ここは質問するのを止めた。
「気をつけて行って来い。」
「了解。」
**********
3人は車に戻ると、資料に目を通す。三郎はカーナビで目的に標準をつけながら天馬に質問した。
「ところで、天馬君は家に帰らなくても大丈夫なのか?」
三郎の質問に、天馬は笑顔で答えた。
「明日は土曜で何もないから、友達の家に泊まるって言ってきたんで大丈夫です。」
「そうか。で、場所はどこら辺りだ?」
三郎が助手席でクライムの住所を確認している亜樹に質問する。
「え〜っと、ここから1キロ弱の地点。」
「よし。セット完了だ。」
三郎はエンジンをかけ、目的地へと車を走らせた。
車内______
天馬、亜樹、三郎はクライムが住む自宅へと目指していた。
「相手は噂通りだと遠距離攻撃を使う奴だ。接近戦に持ち込めばこっちのもんだからな。」
三郎はハンドルを切りながら2人に言う。
「私と天馬は三郎さんの援護をするわ。その間にあなたが仕留めて。」
「了解。」
この時、天馬は三郎の超能力が何なのかが気になった。
「三郎さんの能力ってなんですか?」
「俺か?俺は・・・・」
三郎は右手を天馬に向ける
ギィィィィィン!!!!!!!!!
その瞬間、三郎の右手はドリルに変わって火花を出しながら回転し始めた。
天馬はいきなり変化したドリルに驚き、思わず身体がビクリと動く。
「すごいだろ?俺は両手をドリルに変えれる超能力。簡単にいえば硬化だ。」
「初めて見た・・・すごっ・・・・」
天馬は絶句した。自分以外の能力者の能力を見て、さらに違う能力も見たい衝動に駆られる。
「そろそろ着くわよ。あそこじゃない?」
亜樹が2人の会話に割り込み、目の前のとある建物に指を指した。
「廃ビル・・・・?」
3人の目の前には渋谷区の人気のない地域にある廃ビルだった。
どう見ても人が住めるような場所ではない。
3階建て。1階と2階は壁に亀裂が入り、3階に至っては天井が崩れて内部が露していた。
「本当にあそこか?」
「あそこです。何度も確かめましたが絶対にあそこ。」
3人は顔を合わせると、三郎が天馬に向かって忠告した。
「自分の命を最優先しろ。それじゃあ、行くぞ。」
三郎の忠告に天馬は頷き、3人は車から降りた。