ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─ESP─第7話UP ( No.12 )
- 日時: 2011/01/31 20:39
- 名前: 遊太 (ID: BZFXj35Y)
07【断罪能力者集団“ジャッジⅦ”】
廃ビル 屋上
屋上の段差に右足を乗せ、天馬たちを乗せた車を見届けていた男性がいた。
「行きやしたぜ、兄貴!!」
丸刈りに革ジャンという姿をした男は、後ろを振り向きながら言う。
すると、廃ビルの暗闇から月明かりに照らされ6人の人影が現れた。5人は男性、1人は女性である。
「算介は?」
「連れていかれやした。どないしますか?」
男は関西弁が混じった言葉で、紫色の髪が特徴的であるクライムに言う。
「………7人で作戦を練る。彼らは‘アビリティ’の社員だろう。一筋縄ではいかない。気を引き締めないとな。」
クライムがそう言うと、後ろにいたスーツに赤いネクタイ、背中に巨大な斧を背負った巨体の男性が前に出る。
「俺が、先陣を切ろうか?」
巨体の男性はプロラグビー選手の様な体系をしており、顎が出ているのが男性の表情を揉み消している。
「ケッチャム、君は唯一の近距離攻撃型だ。まずは、マルキエビッチとスチュアートの2人組に先陣を切らせる。」
クライムの言葉で、後ろから黒いコートにフードで顔を隠した2人組の男性が現れた。
「どこ襲撃すればいいぃのぉぉ?」
「拙者は、いつでもいいでござる。」
語尾を濁らす男性と時代劇の様な喋り方をする男性は、クライムに質問する。クライムは、ある場所を見た。
「東京タワーなんてどうだろうか?あそこなら、奴らも飛びついてくる。」
クライムの言葉に、忍者口調で喋るスチュアートは微笑してマルキエビッチを見た。
すると、マルキエビッチはフードを外して不気味な笑みを浮かべた。
「俺は、賛成だぁ。最高のステージにしてやるよぉぉ。」
マルキエビッチは頭を包帯で巻いており、糸切り歯がヴァンパイアの様に奇妙に飛び出していた。
「拙者も汝の意見に賛成じゃ。決行の何時にする?」
スチュアートの言葉で、クライムは振り向いて答えた。
「思ったら即行動…………明日、日曜日の真昼間に決行だ。」
*********
超能力専門会社‘アビリティ’ 4階 取調室
アビリティへと帰ってきた天馬、三郎、亜樹は、冥にお礼を言うと算介を連れて取調室に入った。
取調室の中には机一台と椅子が2つだけ。三郎は算介を座らせ、向かい合って三郎も座る。
「名前と年齢を教えろ。」
「水茂算介、一之瀬高校1年生の16歳だ。」
算介はぶっきらぼうに答えると、ため息をついて落ち込む。亜樹は算介の肩をポンと叩いて慰めた。
「遊び半分で悪い超能力者には絡んだら駄目だよ。三郎さん、彼はこの会社に入れてあげましょう。」
「元々そのつもりだ。みっちり更生して鍛えてやる。天馬と一緒にな!!」
三郎は振り向いて天馬に言った。天馬は嫌な気持ちになったが、反面嬉しい気持ちも湧き出た。
算介は天馬を見るとハニカむ。天馬も算介を見て微笑んだ。
「で、他にクライムについて知っていることはあるか?」
「あぁ。奴らはこう名乗ってるよ。」
「断罪能力者集団 ジャッジⅦ(セヴン)」
算介の言葉に、3人は顔を合わせた。すると、亜樹が算介に質問する。
「Ⅶって、あなたもその中の一人?」
「違うよ。俺は新米だ。奴らは7人の小組織作ってるけど、俺はクライムと……‘志村’って男しか知らない。」
算介の言葉で三郎は何度か頷くと、立ち上がって算介に手を差し伸べた。
「協力ありがとう。そして、強引だが君にはこの会社に入社してもらう。いいか?」
「いいっすよ。学校もほとんどいってねぇし。」
算介は笑顔で三郎と握手を交わした。
こうして、もう1人仲間が増えたのだった。