ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─ESP─8話更新 ( No.17 )
- 日時: 2011/02/01 21:00
- 名前: 遊太 (ID: BZFXj35Y)
08【タワー強襲】
翌日 日曜日 東京タワー
休日の東京タワー展望台には、親子連れの一般市民が多く目立っていた。
エレベーター付近に設置されたガチャガチャの前に、小さな子供が立っていた。だが、男の子は違う物を見ている。
「ねぇねぇ、それかっこいいね。」
男の子はエレベーターの近くに立っていた男2人組声をかける。刀を腰に付けているスチュアートは、男の子を見た。
「坊主、失せるで御座る。マルキエビッチ、始めるのじゃ。」
「了解ぃぃぃ。それじゃ、展望台の半分をぶっ飛ばすぜぇぇぇ。」
マルキエビッチはそう言うと、両手を展望台に向ける。すると、手の平に小さな炎の塊の様な物が出来上がった。
「ブラストォォォォォオォォォォォォ!!!!!!!!!!」
マルキエビッチが叫んだ瞬間、ガラスが一気に割れ、展望台が轟音をあげて爆発した。
タワーは爆発の影響で大きく揺れ、観光していた一般市民は悲鳴と泣き声をあげながら非常階段へと逃げていく。
展望台は一瞬で炎に包まれ、東京の街に黒い煙の柱が、白い雲一つない青い空へと伸びてゆく。
「ひゃっはっはっはっは!!!!こいよぉぉ、アビリティの社員どもぉぉぉぉ。」
「作戦成功じゃな。」
スチュアートとマルキエビッチは燃え盛る展望台から東京を見下ろし、不気味な笑みを浮かべた。
**********
‘アビリティ’
東京タワーの爆発音は、‘アビリティ’にも届いていた。
「社長!!東京タワーで爆発事故が!!!」
社長室に駆けつけた三郎は、息を荒げて冥堂に言った。13階の社長室からも、タワーから煙が立ち昇っているのが確認できる。
「事故か……能力者の仕業か……。三郎君、亜樹ちゃんと天馬君、算介君を連れて現場に向かってください。」
「了解しました。」
三郎は礼をすると、急いでエレベーターに乗り下の階へと戻っていった。
冥堂は窓から東京タワーを見つめると、眉間にしわを寄せて口を歪めた。
「嫌な予感がする………。」
───────
1階 エントランス
三郎がエントランスに着くと、すでに亜樹と天馬と算介がいた。3人は慌てて三郎に駆け寄った。
「三郎さん、さっきの爆発って…………」
「東京タワーの展望台で爆発事故だ。もしかすると、算介の言っていた断罪超能力者の仕業かもしれない。」
三郎の言葉に、算介は大きなため息をついて首を縦に振る。
「奴らは断罪超能力者なんてものじゃない。ただの犯罪者だ。俺も精一杯協力する。」
算介は三郎に言うと、三郎は算介の肩を叩いてグッドポーズを見せた。亜樹と天馬も算介を見て微笑む。
「相手が能力者の場合は俺が先頭。亜樹は援護に回ってくれ。算介と天馬は、取り残された市民の救助だ。」
「分かりました。」
「おう。」
「了解です。」
4人は顔を合わせて頷く。すると、三郎が右手を前に出した。
「4人で初めての共同任務だ。絶対に、死者を出さない様に。自分の命を最優先にして動け。」
三郎がそう言うと、天馬、亜樹、算介と三郎の右手に手を重ねた。そして、全員は笑顔で頷き合う。
「行くぞ。」
4人は会社を出ると、車で東京タワーへと向かった。