ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─ESP─8話更新 ( No.18 )
日時: 2011/02/01 21:46
名前: 遊太 (ID: BZFXj35Y)

09【vsマルキエビッチ】


東京タワー 入口


タワー入り口はすで全て封鎖され、パトカー、救急車、消防車が何台も止まっていた。
タワー周辺は「KEEP OUT」と書かれた黄色テープで遮られ、何百人もの野次馬が、炎に包まれた展望台を見上げている。
タワーに隣接する大通りに、4人を乗せた車は止まった。4人は降りると、すぐに上を見上げる。
「どうやって行く気すか?入口は全部、警察が張ってますよ。」
算介の言葉に、三郎は辺りを見渡す。しかし、特に使えそうな物はない。
「強行突破するぞ。算介、お前の能力が一番安全だ。大量の水で警察を目を晦ましてくれ。」
「分かった。」
三郎、亜樹、天馬と算介は一旦別れ、それぞれ野次馬の中へと混ざり込む。そして、段々と前へ進む。
算介は一番前まで来ると、タワーの入り口を見渡した。入口付近に5人。手前には10人ほどいる。
しかし、どの警官も消防隊や救急隊と話している。
「よし………喰らえ!!!」


バシャァァァアァァァァァァ!!!!!!!


算介は体を水に変え、警官たちに突っ込んだ。
「なっ、なんだこれは!?」
「おい!!消防隊、何してる!!!!」
警官たちは消防隊のせいだと思い込み、暴れまわる水と化した算介に何も出来ずにいた。

「今だ!!!行くぞ!!!」

テープを乗り越え、3人は一気にエレベーターまで走った。エントランスに入り、エレベーターに駆け込む。
「算介!!来い!!!」
三郎が叫ぶと、水と化した算介はエントランスに入りながら元に戻り、エレベーターに飛び込んだ。と、同時に閉まる。
「めちゃくちゃですね………」と息を荒げながら、天馬は言った。
「それが‘アビリティ’流よ。」
亜樹は微笑みながら天馬に言う。そして、4人を乗せたエレベーターは展望台へと向かった。


**********


展望台


『東京タワー、展望台で御座います。』


女性のアナウンスの声で扉が開き、4人の目の前に見たことのない光景が広がった。
「これは………ひどいな………」
三郎はエレベーターを出ながら呟いた。

窓は全て割れ、あちこち燃え盛っている。床にはガラスの破片が大量に落ちており、歩くたびに割れる音がする。
「敵に注意しながら、逃げ遅れた市民を探せ。」
三郎を先頭に、他の3人が後ろを警戒しながら前へと進む。三郎はふと、窓の方を向いた。その直後だった。



「ひゃっはっはっはっは!!!!!」


4人の目の前に突如、両手を燃やしながら現れたマルキエビッチ。マルキエビッチは三郎に襲いかかる。
「よぉ。俺は‘ジャッジⅦ’NO.6のマルキエビッチだぁぁ、殺してやるぅぅぅ。」
マルキエビッチはそう言うと、三郎の右手を掴む。だが、三郎は両手をドリルに変えてマルキエビッチを振り払った。

「3人は下がれ!!俺が相手をする!!!」

三郎はそう言うと、両手のドリルに火花を散らし、マルキエビッチに突進する。
「俺に触れたら、ドカン!!だぜぇぇぇぇ。」
マルキエビッチは不気味な笑みを浮かべながら、無防備な状態で三郎に突っ込む。
三郎は一瞬躊躇ったが、容赦なく両手のドリルをマルキエビッチの腹部に刺した。その瞬間だった。


「う、わぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!」


三郎がマルキエビッチの腹部に触れた瞬間、マルキエビッチは大爆発を起こした。
後ろにいた天馬、亜樹、算介は飛ばされない様に必死に耐え、爆風の中に消えた三郎を探す。

「三郎さん!!!」

亜樹が叫んだ瞬間、広がる黒い煙の中でドリルの回転音と刀の様な音がした。
「中で………何が…………」
3人はどうすることもできず、ただ煙が消え去るのを待つ。と、次の瞬間に煙が一気に消えた。




だが、3人の目の前には唖然とさせる光景が広がっていた。