ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: お嬢様と執事。 ( No.11 )
日時: 2011/02/02 20:12
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)

Ⅰ「アンティーク人形」



「アンティークマニアの集まり? アンティークマニアご自慢の品を連れて?」

不服そうに告げるのは左手の薬指に赤薔薇の指輪を輝かせる少女、否、人形・ル−ジュ。


「貴方の他に目覚めた人形が在るかもしれません。もしかしたら、目覚めた人形に会えるのでは?」

同じく左手の薬指に赤薔薇の指輪を輝かせる執事風の男・ノワール。

本日の真夜中12時に開催されるのは、アンティークマニアがご自慢の品を見せびらかす低俗なパーティー。


「……よいわ。愛する姉妹らに会えるかもしれないものね」


会ったらこれが最後。憎しみ合い、殺し合い、他の姉妹は如何でもいい。
自分があの方の恋い焦がれた完璧な少女となれるなら、どんな犠牲を払ったってそんなの関係ない。

そんな世界に生きているわたし達。でも、わたし達、自分を可哀想とは思わないわ。

それこそが、わたし達の生きる意味。生きる意義、生きる目的。


「では、今晩の12時です。飛び切りのドレスを用意しましょう」

跪き、恭しく告げるノワール。


「赤でないと嫌よ」

跪いた彼を笑いながら、そう告げるルージュ。



「解っております」


  そう告げて、彼は退室する。廊下には、魔の足跡が響く───。