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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: お嬢様と執事。 ( No.16 )
- 日時: 2011/02/03 21:02
- 名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)
「……」
私が参加したのは、姉妹を見つけてしまうかもしれない危険なパーティー。
私達薔薇人形は動く事も、話す事も、感情も知っている。でも、玩具の人形のように、1mmも動いてはならない。
私は、ソリテュードの腕の中で、瞬きもせず、ただ姉妹と出会わない事を祈る。
私はラ・ヴェリテ。緑薔薇の指輪を身につけ、緑薔薇を司る人形。
そして、私の騎士-シェバリエ-のソリテュード。私達は二人で一つ。
「……姉妹は目覚めていますか?」
気遣わしげな彼の声。聞かずにはいられなかったのだろう。
「……2体だけ……目覚めていないか、出席していないかですわ」
悲しい事に、2体の姉妹は目覚め、ここで会ってしまった。きっと、その2体も私の存在に気づいているはず。
「そうですか。覚悟はありますか?」
覚悟が無ければ戦う証がない。喩え騎士の方に戦う覚悟があっても……。
人形の方に覚悟がなければ、それは棄権とされる。だから、人形に怯えや恐怖は必要ない。
「……ええ。貴方が居るもの。私を守って下さりますわよね?」
大丈夫。長い間一緒にいた彼ですもの。私を見捨てたりしないわ。私は彼を信じるわ。
それが、私が彼に証明できる信頼の証。
「必ずや、お嬢様を守ってみせましょう」
ふわりと優しく微笑みながらの言葉。でも、心強さもある。
信じる力は魔法に変わると言うわ。大丈夫、きっと大丈夫よ───。
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