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Re: お嬢様と執事。 ( No.18 )
日時: 2011/02/03 21:21
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)



「目覚めたのか? 全て」

騒がしいパーティー会場とは違い、涼しい風が吹き抜けるテラス。
そこでは、青薔薇を司る二人が会話していた。


「いいや、全てじゃないな。まだ1体……。一番たちの悪いのを見つけていない」

青薔薇を司る人形、ラ・シャッスとその騎士、マンソンジュの会話だった。
お互い、左手の薬指の青薔薇の指輪を月光に照らし、不気味に輝かせている。

「ふ……。悪徳女王か」

手摺に身を任せ、不気味に輝く月を見上げる。まるで、闘いの鐘のように、青白い月を───。


「悪徳女王か……。できれば永久に眠っていてほしいよ」

あんなのが目覚めでもしたら、僕達に勝ち目はない。あの女は……、尋常じゃない。
   強さも、狂気も、美しさも、全て───。


「俺の目的はただ一つ。貴様はその為に利用される駒に過ぎぬ」

同じ指輪を見に纏う者同士、涅槃まででも共にいなければならない存在。
だが、彼はそれを嘲笑う。己の目的の為、神聖な契約を汚す邪道と言うのが最も適した表現だ。


「生憎、僕も同じだよ。あの娘を見つけるまでは貴様とは利用関係だ」

人形もまた、神聖な契約を汚す。人形である誇りを忘れたのか、そうしてまでも達したい目的が在るのか。


「俺を利用するか。面白い」

だが、二人はお互いの関係に満足しているようだ。利用し、利用され、騙し、騙され……そんな関係に。


 二人の目的とは何なのか。目的が違えば、命までも違えるのか───。