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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: お嬢様と執事。 ( No.23 )
- 日時: 2011/02/05 21:01
- 名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)
(わ、私も何かしなくては……)
ラ・ヴェリテは争い事を好まない。ラ・メイユール・レーヌを傷つける事を躊躇っている。
何かしなくてはいけない、頭では解っていても、行動に移すのには勇気がなかった。
それを見逃さないのがラ・メイユール・レーヌ。彼女は触手の邪気でラ・ヴェリテの身体を捕らえる。
「きゃぁっ!!」
身体が壊れてしまいそうに強い邪気。それは、ラ・メイユール・レーヌの強さを物語っているものでもあった。
「最初の生贄はこの娘か」
ラ・ヴェリテの緑薔薇の指輪が次第に輝きを失い、黒く変色してくる。
それは、ラ・メイユール・レーヌに力を奪い取られている証。
「ぁ……。うぅっ……」
身体がギシギシと軋む感覚。所詮は造られた物。造るのは難しくとも、壊すのはいかに容易いか。
「お嬢様っ!!」
お嬢様の苦しみを解放するためには、あの人形の足に口付ければいい。だが、それは裏切りを意味する。
そして、お嬢様は今以上の苦しみを味わう事になる。
自分は何もできない。お嬢様の苦しみを和らげる事も、お嬢様の苦しみを分かつ事も、何も───。
彼は人生最大の屈辱を味わいながら、地に膝を着く。
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