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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: お嬢様と執事。 ( No.24 )
- 日時: 2011/02/05 21:14
- 名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)
Ⅲ 「騎士と人形」
「ハハハハハッ! どうせ貴様は何もできぬのだろう?」
騎士と云う存在に何ができよう。こういうとき、手出しをするな、と言われれば手を出せない。
たかがそんな存在だ。騎士は、喩え己の人形でなくとも、人形の命令を守らなくてはならない存在。
人形に逆らう事は、騎士の終わりを意味する。ただ一時力を分け合い、共に過ごし、本当に愚かしい生き物だ。
「あぁ……」
これまで長い時間を過ごしてきたお嬢様の、今まで見せた事のない様な苦悶の表情。
「貴様、私の足元に跪くつもりはないか?」
ラ・ヴェリテの身体を絞め続けながら、ふとソリテュードにそう語りかける。
気づけば、他の人形も触手に捕らわれていた。そして、ラ・ヴェリテ以外の人形はどこか負傷していた。
「そんな事をしたらお嬢様の苦しみは───!!」
身体が無くなっても、永遠に痛みだけを受け続ける。そんな惨たらしい事がどうしてできよう。
「……この人形は、今この醜態を晒して生きている事すら恥。それなら、人形としても死なせてやれ」
彼女の優しさが垣間見えたその言葉。いつもの刺々しい冷酷な雰囲気すらなかった。
まるで、母親のような優しさを……。暖かさを感じた声色。
「人形は、他の人形に痛めつけられている姿を晒す事が恥。それなら、その姿を消してやってくれ」
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