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Re: お嬢様と執事。 ( No.25 )
日時: 2011/02/06 11:03
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)



「……お嬢様……」


姿在るまま痛めつけられるのが恥ならば、姿無くとも永遠の痛みを受ける方が楽なのでしょうか……?


「ソ、ソリテュード……」


駄目よ、あの女に近付いては駄目。私は今、貴方が私の騎士で存在しているから命を繋いでいるのよ───。


ラ・ヴェリテの心情とは裏腹に、ソリテュードはラ・メイユール・レーヌに近付いて行く。


「───善い子だ。それでこそ真の騎士」


ソリテュードは無言のままラ・メイユール・レーヌの足元に跪く。



「お嬢様、自分をお許し下さい───」


そして、掌に乗ってしまうほど小さな右足を手に取り、黒い靴に口付ける。





「いやあぁぁぁっ!!!」

ラ・ヴェリテの断末魔の悲鳴が谺する。次第に、その小さな身体はバラバラになって行く。

ソリテュードの左手の薬指に輝いていた緑薔薇の指輪は、漆黒の薔薇へと姿を変えた。






「───」

お嬢様がこれで───解放されるなら───。喩え愚か者と蔑まれ様とも、自分は構いません。


「───私はお前たちの指輪が欲しいわけではない」


ふと、ラ・メイユール・レーヌが呟く。


「ここは私に負けたと、そう言う事にしてはもらえぬか?」


突然の語りかけ。嘘偽りは人形の恥。それを承知の上でラ・メイユール・レーヌはそう言った。




  己の姿が消えてしまうかもしれない危険性と、全ての人形が解放される可能性を胸に抱いて───。