ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: お嬢様と執事。 ( No.26 )
日時: 2011/02/06 11:12
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)




ラ・メイユール・レーヌの作戦はこうであった。全ての人形を自分に負けた事にする。
そして、自分がパルフェの魂を受け、アン・ニディオが消滅する唯一の方法


        愛した相手に殺される


その方法で、アン・ニディオ。我らの生みの親、最愛の神を殺すと言う。

アン・ニディオがこれからも存在し続ければ、必ず全ては狂いだすと言った。
狂いだす前に、歯車を止めてしまおうと。狂った歯車はもう元には戻らないと。


「ダメダメ! そんなことしたら……」

死んじゃうかもしれないんだよ、と泣きそうな顔で訴えるアンジュ。

いつの間にか、邪気の触手から全ての存在が解放されていた。


「つくづく面白い娘ね。自分が消えてもいいの?」

神を殺すとは、己も共に消滅してしまうかもしれない危険な賭け。
そして、アン・ニディオに対する永久の裏切りとなる。


「お前に覚悟が在るなら僕は止めない。でも、騎士さんの意見も聞いてあげたら?」

神を殺せば、不足人形と言われる以上の屈辱を受ける事となるかもしれない。僕は嫌だね、絶対に。



「俺は───。お前が信じた道を進めばいいと思う」

そう言うのはレ・テネーブル。ラ・メイユール・レーヌと誰よりも長い時間を過ごした存在。


「神を殺せばお嬢様も、もう一度目覚めるかもしれない───」

壊れたラ・ヴェリテを抱きしめながらそう呟く。生みの親が死ねば、彼女たちを束縛するものは何もなくなる。



その代償に、喋る事も動く事もできなくなる。だが、それは穏やかな事であって、幸せに繋がるかもしれない。