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Re: お嬢様と執事。 ( No.27 )
日時: 2011/02/06 11:20
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)




「皆跪け。ラ・メイユール・レーヌと契約せよ」

不意にそう告げたのはマンソンジュ。ラ・シャッスの契約者。


「そうか……。ラ・メイユール・レーヌに力を与えれば───」

     
       生存できる可能性は確実に高くなる。



「まさかこんな日が来るとは……」


皆がラ・メイユール・レーヌの足元に跪いている。ラ・メイユール・レーヌは苦笑を浮かべていた。


「感謝するぞ。これからは味方か」


そして、その小さな足に口付けが落とされていく。全ての薔薇の指輪は黒になった。

だが、何故か人形は消える事はなかった。


「───絆、ね」


本当はこうなる事を───。望んでいたのかもしれない。


「アンジュも協力するよ!」


皆の指輪は黒薔薇に輝いていた。だが、誰もそれに不平はない。


「皆協力して、僕だけ協力しないのはね」

遠回しな言い方だが、協力するのに否定はしていないらしい。



「一体の犠牲は払ったが、もうこれ以上の犠牲が無い事を願おう」


さあ、行かねばならない。神が存在している聖地へ。その聖地が、穢れの血で染まる。


「緑薔薇の魂は必ず復活させてご覧に入れよう」

ソリテュードに微笑を投げかけ、全ての決意を終えて聖地に向かう。


「お帰りをお待ちしております。お嬢様」


もう元には戻れないかもしれないけれど、新しい幸福を見つければいい。


人形として飾られ、愛でられ───。闘いなんてもうどうでもいい。


今の人形はきっとその考えを持っている。全てを終焉へ向かわせる為に。