ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第一話 ( No.2 )
- 日時: 2011/06/12 18:17
- 名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)
『ディスファイアの都市』———。
世界で序列一位の都市。そのため、地上とは測りきれないほどの高さで浮上している都市である。
都市の周りには森林や土など何一つなく、ただ、白く輝くクリスタルで覆われているのだ。
それもただ覆われているのではない。造形的に似ているモノ、そう…
「鳥の翼か……」
さすが『神』がいる場所とでも云えよう。
彫刻系の綺麗に並び立つ人が住めるような構造物の周りにクリスタルでできた翼が覆っているのだ。
翼の範囲は、都市の上下左右囲むようにされている。
やはり、その翼の中心には、銀と金で作られた大きな城の後ろからなっていた。
それを見ただけで、私はあの巨大な城の中に『神』がいるのだと確信する。
「飛行船、砲撃用意! 目の前にある巨大な城に向けて撃ち放てッ!!」
手で指を指し、用意された砲弾が次々と城に向かって発射していく。
ズガァンッ! と同じような直面し爆発した音が都市全体に響き渡る。
撃たれた度に煙が巻き起こり、城にも大きなダメージが当たっていると見えた。
「もっとだッ! 全ての弾を使い尽くしてもいい、とにかく城と共に『神』も破滅させろッ!!」
もう一度私は狙いを指で指し伝える。
振り返って仲間達の顔を見て行けば、皆も賛同だった。
先ほどに比べて、撃つ速度も速くなったためか、”爆発した”音は無くなる直前までしか聞こえず、続いてきた砲弾の爆発する音により、連続して”爆発し始める”音しか聞こえなくなった。
もう目の前にある巨大な城は煙幕によってまったく見えない。
砲弾した煙はこの飛行船までにも留まる事を知らずに舞い上がって行く。
都市全体が煙に包まれようとした。そして、———その時だった。
「艦長ッ!!」と、慌ててこちらに来た仲間が伝えに来たのだ。
「な、何だ?」
希望が失いそうな顔をしながら、その仲間は私に言い放った。
「弾がもうありませんッッ!!!」
なっ——————!!
その驚きを言葉にも出来ず、わたしはただ、目の前の舞い上がっている煙を見つめる。
その先にある、巨大な城が破壊されている事を祈って。
ずっとつりそうなくらい指していた指を降ろし、煙が去って行くのをただ祈る。
船にいる全員が、息を、口に溜まった唾液さえも喉が乾くほどに飲んでいく。
やがて、我々は信じられない光景を目の当たりにした。
煙はまだあるが、もう分かる。薄くなってきたからもう認識できる。
そこには、何一つ傷が付いていない巨大な城が同じ位置で佇んでいたのだ。
「そ、そんな……こんな、こんな馬鹿な事があるかァッッ!!!」
そう叫んでしまったのは、艦長である、私だった。
自分で、敗北を示してしまった。
あとは皆、命を乞うために、悲鳴を叫び始める。
私が先ほど指で指していた巨大な城の前にいるのは。
私の目の前にある、巨大な城にいるのは。
『神、ディスファイアならぬ者がここに来たらどうなるのか、教えてあげよう』
「ディ、ディスファイア……? もしや、『神』というのは、神の名前とは、都市の名そのままだったと言うのかッ!? 話を、話を聞いてくれ、神よッ!!」
聞いてくれッ! 頼む! 人間の、私達人間の話を!!!
—————人間を、助けッ————
『哀れな人間よ。その身を持って滅びを味わうが良い』