ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 地獄生活脱出法。 ( No.14 )
- 日時: 2011/02/06 12:17
- 名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY (ID: sX8dkNn6)
『二人、一人』
「天皇ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!出てきやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!ふざけるな!人が殺されるのを見てて楽しいかぁぁぁぁぁぁぁ!!まってろ、俺が今すぐお前の事を殺してやるからよぉぉ!!あっはっはっはっはっはっはっは!!!!」
狂いきった悠之介に和葉はどう声を掛ければいいのか分からなかった。
周囲の小母さんは一層冷たい視線を悠之介に送った。
「ゆ・・・悠?」
和葉が口を開いた。
その目は悠之介を恐れているようだった。というか、異常なほどに恐れていた。
怖い。
雨で濡れた髪の毛が顔にへばりついて鬱陶しい。
その前髪のせいか、悠之介が恐ろしく感じる。
これは、本当に悠之介?
悠之介の中にいる、もう一人の悠之介ではないのだろうか。
どれが本当の悠之介?
和葉の頭は混乱した。
「ふっ・・・コイツの言うとおりじゃ・・天皇・・・何処に隠れとる。今すぐ出て来い、そしてお前の目でしっかり見るんじゃ!!この現状を!」
訛が強い悠之介と同じくらいの少年は天皇に向かって叫んだ。
和葉はただ其処に立ち尽くしていた。
「お前、名前は?」
悠之介は男に訊いた。
「俺か?俺の名前は瀧田 雄鬼。三水に龍ってかいて瀧。」
雄鬼は答えた。
「何か、俺と名前似てるな!俺は瀧口 悠之介。歳は19。」
「おお!歳も一緒か!」
雄鬼は驚いたフリをして、
「まさか、誕生日も・・」
「せーので言おう・・」
変な話で盛り上がってる二人。和葉は動揺していた。
「せーの・・。」
声をそろえる。
「「6月19日!!」」
まさか、と思っていた事が現実に。
二人の顔は明るくなった。
「何か・・親近感沸くな・・」
悠之介は照れくさそうに言った。
「双子みたいじゃな」
雄鬼は何の恥じらいもなく言った。
「これからよろしく」
「こちらこそ」
雄鬼は訛った口調でそういうと、悠之介の手をぐっと握った。