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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 地獄生活脱出法。〜キャラ募集〜 ( No.21 )
- 日時: 2011/02/08 17:26
- 名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY (ID: sX8dkNn6)
『説得』
「おい!待て、和葉ちゃん!」
雄鬼は叫んだ。
ちゃん付けなのは、悠之介に遠慮しているようにも見えたが、本当は「和葉」と呼び捨てで言えないだけなのかもしれない。
雄鬼は和葉を追いかける。
和葉は建物や真っ黒になった電柱にぶつかる事無く走り続ける。
焼けた町は焦げ臭かった。
雄鬼はなるべくその臭いを嗅がない事にした。
段々和葉に近づいていく。
伸びた黒い腕が和葉の細い腕を掴んだ。
雄鬼は和葉をしばらく見つめた後、和葉の手を握った。
「アイツ———・・、悠之介を残して死ぬつもりか??生き延びろ、生きろ!生きろ!!!———・・お願いだから———・・生きるんじゃ——・・・。」
最後は涙声になっていた。
雄鬼は大粒の涙を零して和葉を抱きしめた。
和葉は雄鬼のことも何もかもが見えない「無」の世界に迷い込んだ。
「五月蝿い!私はもう死ぬしか道はないの!ほっといて、最後は———・・綺麗に死にたいのよ——・・・・。」
和葉の顔は、目はとても穏やかだった。
しかし雄鬼の顔は暗くなるばかりで、目には涙が溜まっていた。
「死ぬな、死んだら悠之介はどうなる・・・?」
雄鬼の顔は涙でぐしゃぐしゃになった。
「だって———・・・私、もう生きていけない・・こんな状況でどうしろっていうの?もう、死ぬしかないの——・・。」
和葉は涙ながらに訴える。
「俺らが——・・俺らが和葉のことを守るから——・・・だから、死ぬなんて言うなよ・・・・・・・・・・・・・・・。」
その言葉に安心したのか、和葉は雄鬼に抱きつき、雄鬼の胸の中で頷いた。
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