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『少女』

雄鬼等と悠之介は合流すると、和葉を連れて病院にいった。
病院の待合室にはこれぞと言わんばかりの人達がいた。
とりあえず悠之介は看護師に
「この子、煙のせいで目が殆見えない状態なんです！先に見てくれませんか？」
と訴えた。
感じの悪い看護師は鼻で笑うと、
「彼方、私を馬鹿にしてるの？ここにいる人たちのすべてが戦争の怪我を負った人なのよ？無残よねぇ〜」
看護師は遠まわしに「自分じゃなくてよかった」と言っているようだった。
悠之介は感じの悪い看護師を睨むと仕方なく待合室の木を囲んだ丸い椅子に座った。



「お母さん、大丈夫？死んじゃ駄目よ、お母さん・・・・。お母さん・・・・」
悠之介の隣に座っていた14歳くらいの少女と見るのも無残な真っ黒に焦げた母親が座っていた。
母親はほぼ死んでいる状態だった。
そんな母親を必死に励ます少女。

悠之介は和葉の頭を優しく撫でた。
「お母さん、お母さん」
人が死んでいく———・・・。
この戦争のせいで。


「37番の方〜・・・古畑アリサさ〜ん」
少女はスっと立ち上がり母親を抱えて診察室に入っていた。