ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: —GAME 鮮血の薔薇と漆黒の銃— ( No.13 )
日時: 2011/03/09 18:10
名前: 瀬蒼 ◆baXqm01I8Q (ID: WylDIAQ4)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode



「マジかよ…ッ」

そう声を絞り出す。
ぎり、と俺の奥歯から歯ぎしりの音が聞こえてくる。

俺がさっき思ったとおりだ。
あのゲームの画面の事、銃の事、そしてこの風景。


これだけ条件が揃えば俺は『ゲームの中に入った』と認めざるを得ない。

認めたくないけどな。これだけのことが揃ってんだ。
もう本当、一体何なんだよ——



埃っぽい空気に少し咳き込みながら俺は色々な所をぶつけまくった体をさする。
…左腕が重症だ。 動かそうとしても鋭い痛みが走る。
もしかすると折れちゃったかもしんねぇな。 ぱきっと。

だらんと力無く垂れた左腕を一応無事の右腕で支えながら周囲を見渡す。
するとすぐ足元からバチバチッと不快な音が耳を刺激する。


なんか、嫌な予感がするぜ。と心で呟きながらその音の発生源に目を向ける。

そこには部屋にあった何も装飾もされていない裸電球が火花を上げている。
考えたくないが、今にも爆発しそうなんだが。
ばちぃ!と一際大きな音を立てたと同時に——ぱりん! 電球の硝子が割れる音がする。


しかもその硝子は見事に派手に割れて、でかい破片が俺の右目狙って飛んでくる。

あんなのが目に当たったら失明しかねんぞ!?
身体を横に逸らし顔を破片の軌道から避け、硝子を後ろへ見送る。

—が、身体を逸らしすぎたせいか、元々瓦礫の上は不安定な所でバランスを崩してしまう。

「うおッ!?」

案の定バランスが取れなくなった俺は、瓦礫の山からごろごろと転げ落ちてしまう。
更に勢い余ってごろごろと転がる先にはデカイ石。
そんなのかわせる筈も無く見事に頭を強打し、その場で身悶えする。

「痛ってぇ…」

今のは数学の計算式と記号を一部飛んで言ったぞ。 今の衝撃で。
下手すれば記憶も飛んでったし、最悪意識も吹っ飛んでたぐらいだな。

まあ不幸中の幸いって事でまとめてしまおう。もう考えるだけで気疲れしてくる。




数分立ち、頭の痛みがひいてきた。重い頭と共に身体も起き上がらせる。

と僅かにそよ風が吹く。
俺の長い髪が風に靡き、軽く結わえられた毛先が微かに揺れ、踊る。
降りてきた前髪を掻き揚げて、灰色の色たちで形成された周囲を見渡す。

風で埃が煙の様に舞う。

とその時、視力4.2の俺の両目が1つの建物を捉えた。

もう少し正確に言うと崩れ落ちる建物が。

もっと詳しく言うと、崩れ落ちる建物と共に落下する、人間が。



「なッ…」

俺は驚愕に目を見開く。
建物は積み木の様にいとも簡単に崩れ落ち、その中にいたと思われる人間が、瓦礫の下敷きになってしまう。

埃と煙を撒き立て、建物は瓦礫の山となり静寂に包まれる。
小さい瓦礫がころころと落ち、地面にぽと。落ちる。


男性か女性かはさすがに遠いので判らなかったがあれは人だ。

ていうかやばい。あれ生き埋めってヤツか…?
このまま放って置いたら死ぬんじゃないか… マジで。


と答えを出す前に俺の脚は動いていた。
一応、助けるか。 しかも俺との同類が居たっぽいから、話を聞いてみたいってのもあるしな。

俺は瓦礫の山に向かって走り始めた。