ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —GAME 鮮血の薔薇と漆黒の銃— オリキャラ募集中* ( No.19 )
- 日時: 2011/03/24 02:46
- 名前: 瀬蒼 ◆baXqm01I8Q (ID: FzVK5xRK)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
殺し屋——
こんな16歳の、俺より年下な子が?
有り得ない。今日は変な事が起きすぎる。
と思いつつ俺は心の端では少し安堵していた。
こんな平気で人を殺す少女がそういう事をやってなかったら一体この少女は何者なんだ、って事だしな。
まあ、有り得ない事には変わりはないんだけどさ。
と、くるんと澪紅と名乗った少女は何でも無いかのように振り向く。
拳銃は既にホルスターに収まっており両手共、腹のポケットに突っ込まれている。
そしてコイツの足元。 血が水溜りの様に溜まっていた。
やばい、見てしまった。
しかも今死んだ男性から出血した血の臭いが埃の臭いと混ざり、俺の鼻腔を刺激する。
そして俺を何とも言えない気持ち悪さが襲ってくる。
脳みそがかき回されるように何も考えられなくなる。
脂汗がじわじわと身体中から滲み出て来る。
——いかん、いつもの発作が。
腹から口まで込み上げて来た血を押し留める。
吐き気が急に押し寄せて来て立っていられずよろめいてしまう。
手に握られていたネックレスがちゃり、と落ちてしまう。
「げほッ げほッ」
そして最後に盛大に咳き込んでしまう。
口元を押さえた手に少量の紅い、ねっとりした血が付いていた。
「……どうか、したのですか」
そんな俺を眉一つ動かさず見ていた澪紅(と勝手に呼ばせて貰おう)は、いきなり取り乱した俺に問う。
しかも俺が吐血したってのに別段驚きもしてねえぞ。どんな化け物だよ。
「いや、俺は——血が駄目なんだ。 見たり臭いを嗅ぐとこんな風に発作が起きてしまうんだよ」
げほっと最後に咳き込んで答えると
「…そうですか。ではこれで口の周りと手を」
ポケットに突っ込んでいた左手から投げて来たのは、白い無地のハンカチだった。
それを左手でキャッチして口元に当てる。
石鹸のような、爽やかな洗剤の臭いが鼻腔深く吸い込んでしまってとても落ち着く。
それから、澪紅は俺が落ち着くの待ってから聞いて来た。
「そういえば貴方の名前を聞いていませんでしたね。名前は?」
「織坂 琉玖だ」
短く答えた。別に他に話す事も無かったしな。
咳がもう出なくなったのでハンカチを自分のポケットに入れる。
下に落としてしまったネックレスも一応拾って置く。
「織坂… 了解しました。 さっきも言った様に私は貴方の物です」
ごほッ!!と俺はまた咳き込んでしまう。 さすがに血は出てきやしなかったが。
そんな俺を尻目に澪紅は構わずを話を続ける。
「ああ、後何か聞きたい事は?」
「おおありだよ。まずその俺のもんになるってのはどういう訳?」
「その言葉通りですよ。その事を説明する前にこの世界の事を教えます」
澪紅は近くにあったドラムカンに座り始めて俺に色々説明モードに入ったらしい。
俺もさっきからさっぱり意味が分からないので近付き聞くモードに入る。
「貴方もご存知の通り、ここは『DARK.STORY』のゲームの中です。
そのゲームをクリアした人のみここに転送されます。」
マジかよ… 有り得ねえと思ったが実際こんな所に来てるのでコイツの話を信じるしかない。
半信半疑で話を聞き続ける。
「ここでは私達以外にも同じ様に連れて来られた人達がいます。
そこの人が良い例ですね。男性もこのゲームをクリアした人です」
チラ、とさっき殺したばかりの男性の方向を見る。
俺は見なかったけどな。見たらまた発作が起きるし。
「今、話題の事件。知っていますか? 原因不明の昏睡状態」
「あ、ああ最近ニュースで見たことがある」
「それが私達です。今ここにいる人達は全員現実では昏睡状態になっているんです」
「でも昏睡状態だったら、こんな風に動けないだろ?」
と疑問に思ったことを聞いてみると、
「…私も詳しく知らないのですが、簡単に言うと肉体は昏睡状態にしていて魂だけ連れて来られてるみたいですよ」
魂だけ、ねえ。そんな事出来るのかよ。
まあ出来るから今俺は此処に居るんだろうけどよ。 信じらんねえがな。
要するに昏睡状態に陥っていた人達は皆此処に連れてこられたって事か。 多分。
「貴方はゲームの最初に、主人公が何をしたかわかりますよね?」
頭の中を必死に整理していた俺に質問して来た。ちょっと上から目線だが怒らせると怖いので答えるか。
「国を制圧しようとして来た他の国の兵士を倒すんじゃなかったっけ」
「そうです。私達も様はそれと一緒なんです。一人一人が敵で私達を殺そうとしてくる。
殺されるのを防ぐ為に私達は殺し合いを始めるんです」
——殺し合い。
そんな漫画に出てくる展開がマジで合ったとは。
認めたくない、こんな物騒なこと。
だけど澪紅は真剣その物で全然ふざけている様子などまったくなかった。
「中には私達の様な、何人かで集まって協力し合う人達も居ます。そのほうが確実に生き残れるでしょう」
「ちょ、ちょっと待てよ。 何で俺は人を殺すと言う前提で話が進められてる訳?」
そんな言葉に澪紅は形の良い眉を顰めた。
「俺はそんな事出来ねえよ。 人殺しなんざ」
「私は言った筈です。私達が殺されるのを防ぐから此方も対抗するんです。では逆に貴方は死にたいんですか?」
絶対零度と言う言葉が似合い過ぎるほど鋭利な目付きだった。
凄まじい恐怖を覚える。澪紅は俺を睨み続ける。
おぞましい恐怖に抗いながら答える。
「そりゃ…死にたくないって思うのが人間本来の本能だろ」
「だったら人を殺して下さい。 じゃないと貴方が殺されます」
何だか少し矛盾しているような気もするが反論しすぎるのも怖いので、
一応相槌をうっておこう。
「それとさ、意外と流されてるが—俺のもんになるっていうのは?」
「ああ、そういえばそうですね」
忘れてたのかよ。お前はどんな意味でその言葉を言ったか知らないが、
こっちにして見れば超重大発言なんだぞ。
「私は貴方にその裏切りが無い様にという忠誠の証、という事です。
さっきのネックレスがそういう意味ですので。さっさと付けて下さいよ」
とコイツの言動が最後の方が毒舌なのは聞かったフリをしよう。
何だよ、ドキドキして損したな。
私は貴方の物、って。普通としてこれは告白として受け取ると思うんだが。
「後、私は貴方の事マスターって呼びますから」
勝手にしろよと適当に返事をして拾ったネックレスを着ける。
冷たくてヒヤッとするがその内体温で温まるだろ。
澪紅は俺がネックレスを着けたのを確認して、言った。
「これから宜しくお願いしますね、マスター」
無表情でそう告げて来た。