ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —GAME 鮮血の薔薇と漆黒の銃— ( No.3 )
- 日時: 2011/03/22 16:43
- 名前: 瀬蒼 ◆baXqm01I8Q (ID: FzVK5xRK)
深緑のブレザー、紅い薔薇のような色のネクタイ。
濃紺のズボンに黒革のベルト。
俺が通っている高校の制服に着替えて、自分の部屋を出る。2階の長い廊下を歩きながら、
1階へ繋がっている木製の階段を降りる。
キシキシと僅かに床が軋むのを足で感じながらタンタンと音を立てながらリビングへ向かう。
「お早う 琉玖」
ひょこ。
台所から少しだけ顔を出して微笑む俺の母さん。
元から細い目をさらに細めてにっこりと笑う。
相変わらず朝からよく笑うなあ。
持っているフライパンに乗っている目玉焼きを皿に
移し変えながら問いかけてきた。
「今日は遅かったわね?」
「昨日はゲームやり過ぎたかな・・・ 後悔はしてないけど」
また小さく欠伸をして、寝癖がついたままの頭を掻きながらテーブルに着く。
「ゲームもほどほどにしなさいね?」
微笑と苦笑の中間辺りで微笑んだ母さんは、トーストしたパンの上に、
さっき焼いたばかりの目玉焼きとハムが乗せてある——を乗せた皿を持って来た。
このパンは俺流の朝食の食べ方だ。
毎日このパンを食べて学校に登校している。
ていうかこのパンを食べないと「朝」って感じがしないな。
「早めに食べて学校早く行きなさいよ?」
温かいモーニングコーヒーまで淹れてくれた母さんは
コースターの上に置いて、
にこ、と一度微笑んでから食器の後片付けに台所へ戻る。
おう、と短く返事をしつつ、だらだらと食べながら、リモコンで適当にチャンネルを回し続けていると——
一つ気になるものが目に付いた。
それは何処にでもやっている普通のニュース番組だった。
『今全国で原因不明の昏睡状態に陥るという不可思議な事件が起きています——』
TVの中で二十歳ぐらいの男性がよく通る声で発した言葉は
今、とても深刻な社会問題となっている事件の事を言っていた。
原因不明の昏睡状態ねえ・・・
考えながらコーヒーを一口飲む。
俺はこの事件にふーんとしか言いようが無い。
どうせ俺がどう思ったってどうこう出来るって訳じゃないんだから。
と俺は勝手に自問自答しながらもう一度コーヒーをすする。
苦味が口の中で広がったと思いきや、そこからゆっくりと
甘さに変わって行く朝のコーヒーを贅沢に味わいながら朝食を終える。
「ご馳走様」
食べ終わった食器を台所まで運び、そのまま玄関へ向かう。
ちょっとだらだらしすぎたな。
早歩きで登校すれば間に合うだろ。
そんな事を考えながら靴を履く。
「そろそろ行くのね?」
俺が出かけると察した母さんは台所から手を拭きながら
ぱたぱたとかけてくる。
「ん、そろそろ行かないと間に合わないしな」
腕時計で時間を確認しつつ立ち上がり爪先を二回ほど床へ
トントン、と靴と足を合わせる。
「それじゃ——行ってきます」
——少しずつ運命の針が刻まれていく——