ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —GAME 鮮血の薔薇と漆黒の銃— 参照200突破…ッ!? ( No.35 )
- 日時: 2011/03/27 12:40
- 名前: 瀬蒼 ◆baXqm01I8Q (ID: FzVK5xRK)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=16494
俺は織坂 琉玖。 17歳の高校生だ。
平凡を愛して、今も平凡の日々を送っている。
…はずだった。
ひとつのゲームをクリアすると同時に変な所で閉じ込められるし、
死にかけたと思いきや左手は動かなくなるわ。
いきなり変な廃墟の町に連れて来られて、拳銃を持たされ。
更には殺し屋と名乗る美少女と此処で、「殺し合い」を始めるらしい。
…有り得ないだろ? 俺もまだこの事を信じ切れてない。
まだ殺し合いとやらがどんな物というのもまだ良くわからない。
「はあ、早くしてくださいよマスター」
この美少女が、自称殺し屋の朝露 澪紅。
ダボダボパーカーにジーパン、スニーカーというシンプルな服に身を包んでいる。
髪の毛はあまり手入れが行き届いてないボサボサ感、切りそろえられてない栗色のセミロングの頭の上には
いつも深く被っているフード。
真っ白な白磁の様な肌を彩るのは、黄金の瞳に程よい色に染まった桃色の唇と頬。
髪の毛の事を引いてもかなりの美少女だ。
だが殺し屋特有と言うのか、身が竦む様な恐怖感がするんだ。
まあ殺し屋は初めて見たんだが。
平気で眉ひとつ動かさず人を殺すようなやつだ。 あまり関わりたくはないがな。
「へーへー」
気の抜けた返事をし、先頭を歩いていく澪紅の後をついていく。
今は何をしているのかというとまあ、簡単に言うと『物色』である。
澪紅によると「これから食料に困る」と言うらしいのでこんな無駄に広い廃墟の建物を回っているのである。
この廃墟に食料なんてあるのか?とか思ったやつ、その通りだ。
ただ埃っぽい空気と何もない空間だけが広がっているだけなのだ。
たまに瓦礫が積まれてたり、木屑があるぐらいだ。
それでも意味ない廃墟回りを続けるだけだった。
「なあ、何時まで続けるんだよ」
いい加減足が疲れてきた俺は文句と言う。こっちなんかは左手が動かない状態なんだからな。
だが澪紅はずんずん先に行ってしまい俺の事はガン無視。
「おい 聞いてるのか」
負けじと俺もスピードを上げつつもう一度不平を言う。
だが聞く耳を持たず無表情で無視。
絶対意図的に無視してやがるなこいつ。
「いい加減話聞けよ」
歩いて行こうとした澪紅の手を掴む。
澪紅の細い手は俺の手の中にすっぽり収まってしまう。
「…何ですか」
嫌そうに— 否、とても嫌そうに整った顔を歪めて振り向く。
そして振り向き際にぎろ、と睨みを効かす。
お、俺にそんなに手握られるのが嫌なのかよ。ちょっと傷付くんだけど。
「だ、だから何時までこの廃墟回り続けるんだよ」
怖じ気づきながらさっき聞いた事と同じ事を聞き返す。
するとはあッと溜息をついて面倒そうに喋り出す。
「いちいちそんな用件で呼ばないでください。こっちは忙しいんですから」
「はあ?そんな事って何だよ」
ちょっとイラっと来てしまった俺が言い返すと
「何か勘違いしている様ですが、私達の生死に関わる食料を探しているんですよ。見つかるまでです」
「見つかるまで…って」
「この際言っておきますが、マスターの目の良さだけを買って仲間にしているだけです。これから以上に馴れ馴れしくしないでください。
あと役に立たなかったらすぐ消しますから。食料の無駄、銃弾の無駄ですので」
バッ、と腕を振り払い、踵を返して行ってしまう。
なんていうヤツだ。 役に立たなかったら消す、か。
恐ろしいな。だがあいつなら本当に実行しかねないので、はぁーと溜息をついて早足で付いていく俺であった。