ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —GAME 鮮血の薔薇と漆黒の銃— ( No.4 )
- 日時: 2011/03/05 11:49
- 名前: 瀬蒼 ◆baXqm01I8Q (ID: WylDIAQ4)
カチカチカチ。
静かな朝の道路に俺の携帯を打つ音だけが響いた。
今日は異様に静かだな。
いつもなら結構この通りは同じ高校に通っている一年やらで騒がしいのにな。
俺が今日遅かっただけか?
このくらいの時間帯でも遅刻確定者とか良く通るしな。 近道だし。
でも俺はこのままで行けば遅刻は免れるだろ。そこまで遅くなかったしな。
パチンと携帯を閉め背中に背負っているように持っていた
バックにしまう。
・・・・・・俺遅刻してんのかな。
さすがに1人も通らないのに不安を感じた俺は腕時計で時間を確認すると、
針達は七時五十六分を指していた。
俺の高校は八時十分までに校門に入ればセーフとみなされる。
ここからの距離でそこまで遠くないし何らかの事がなければ時間前に
着くだろ。
と心の中で自分を安心させながら所々剥げているタイルの道を歩いていると——
「やばい〜! 遅刻〜っ」
・・・何だか後ろから聞きたくない幻覚が聞こえたようだ。
昨日はもうちょっと早く寝てれば良かったな〜
「きゃあっ!?」
と俺の真後ろで派手にすっころんだ女子生徒は振り向かなくても
誰だか分かる。
さっきは不安感じたけどコイツと会うぐらいなら一人のほうが何倍もマシだ。
「い〜ったぁぁい」
「何やってんだよ広菜。 朝からお約束やってんじゃねえよ」
睨み半分効かせながら振り向くとお尻をさすりながら「てへ☆」とかウインクしてやがる、俺の幼馴染がいた。
高城広菜。 頭のてっぺんで結んだパイナップルみたいな髪型に、いい色に日焼けした肌。
大きくてくりっとしている瞳にスッと通った鼻筋。
美少女と言ってもいいぐらいの整った顔立ちだ。
だがその馬鹿な性格とエロゲ好き(もといゲーム好き)で全然美少女に感じられねえよ。
コイツとは物心つく前からずっと遊んでいる腐れ縁だ。
早くその縁切りたいんだけど。
「今日は琉玖遅いねー? 寝坊しちゃった?」
ぴょこん、と俊敏な動きで立ち上がり俺の隣に並んだ広菜は
一緒に歩き始める。
何だ、一緒に学校行くのかよ。今日は地獄じゃねえか。
ちなみにコイツと居るとロクな事がないのは検証済みだ。
「ああ、広菜に借りたあのゲームクリアしたから遅くなった」
「おおそっかそっかー 面白かったかにゅん?」
「まあまあかな その前に借りたやつのほうが良かったな」
「へえー じゃ明日ゲーム返してー?」
と俺と広菜は世間話を始める。
広菜はゲームオタクなので時々コイツからゲームを借りている。
・・・エロゲを借りてるわけじゃないからな? 勘違いするなよ?
話を戻そう。 で昨日はそのゲームをやっていたせいで遅くなったと言う訳だ。
「お前も今日遅かったな? お前も徹夜か」
「のんのん。 私はさっきまで『DARK.STORY』をやっていたのだよ?」
そのゲーム名には聞き覚えがある。
『DARK.STORY』今世界中で有り得ない程流行っている人気ゲームだ。
俺も少し前に買いに行ったんだが、完売と言うことだ。
ホントすごい人気だよ。
そのせいで俺買えなかったけど。
「お前そのゲーム持ってるんか・・・ いいな」
「かなりの神ゲーだったのお! 超面白かったよん!」
いや話聞けよ。
「私はクリアしたから——琉玖に貸そうかなと思って今日持ってきたよ?」
いや話聞いてた。
はい、とバックから何重にも紙を巻いてさらに袋に入れたゲームを取り出す。
いつもコイツと貸し借りするときはこうする。
見つかったら死刑紛いのことされるし。
「おおさんきゅ。 いつも貸してくれて」
「くふ。 どういたしましたっ」
にぱぱと笑みを浮かべながら小走りで校門をくぐって行く。
あ、話してたらもう学校着いたのか。
近道通ってきたし当たり前か。
それより『DARK.STORY』ゲットだ。広菜もナイスな事するぜ。
今日も徹夜確定だな。
俺はバックにゲームをしまい校門をくぐろうとすると——
「遅刻ですよ? 織坂琉玖さん?」
俺から死角になっていた陰から——見覚えのある風紀委員の腕章をした
女子生徒がファィルを片手に俺をビ、と指差す。
「ちッ遅刻?」
その単語に吃驚しながら腕時計で時間を確認すると、
やべ、まじだ。 八時十一分。遅刻時刻ですよ。
あの野郎。 アイツと喋ってたせいで遅刻じゃねえかよ。
さっきはナイスとか思ったけど前言撤回。
やっぱり言いことねぇな!?
「さ、これから生徒会室まで来て下さいねー?」
黒い笑みを浮かべた女子生徒が鬼に見えたのは気のせいか。