ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —GAME 鮮血の薔薇と漆黒の銃— ( No.6 )
- 日時: 2011/03/05 11:51
- 名前: 瀬蒼 ◆baXqm01I8Q (ID: WylDIAQ4)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=16494
痛ぇ・・・ まだ足がジンジンするぜ。
まだ痺れている足で帰り支度を始める。
今日はこれから教師達の会議があるらしく早めの下校らしい。
あれから四時限まで廊下に正座に耐えた俺、我ながら凄いと思ったぜ。
四時限終了のチャイムが聞こえた時は天国だと思ったよ。
バックに今日無用の物のとなった教科書やノートを乱暴に詰める。
がさ。教科書がバックの中で何かに引っ掛かって入らない。
二、三回詰め直しても入らないままだ。
一度全部ノート類を出してその引っ掛かる原因を突き止めようとバックを除く。
そこには—紙で何重にも巻いて—袋に入れたゲームが入っていた。
『DARK.STORY』広菜に借りた人気ゲームだ。
それを見ると同時に「早くやりたい」という感情が来たが——
このゲームを借した張本人を思い出し、イラッという感情が芽生える。
——そもそもこの罰ゲーム受ける原因、広菜じゃねぇかよ。
自分だけ先に校門入りやがって。 時間気がついてたなら教えろよ。
畜生、考えただけで腹が立ってきたぞ。
アイツに文句ぶつけてやるぞ。
一発ぐらい殴りたいぐらいだよ。
——広菜、何処にいやがる。
教室を見渡すが—生憎、広菜の席は空席だった。
逃げ足の速いやつめ。 五十m走九秒のくせして。
俺はまだチャックも閉めてないバックを片手に教室を出る。
だが探すまでもなく、広菜は居た。
靴箱の近くにある柱に寄りかかって携帯を弄っていた。
まだ俺に気がついてないらしい。
誰か待ってんのかな。
声を掛けようとすると——
ピロリン♪ 俺の携帯から着信音が鳴った。
アイツ、俺にメール送ってたんか。 俺電話派だけどな。
その着信音に気がついた広菜が俺に気がつき伏せ気味だった顔を上げる。
「あっ琉玖」
携帯をパタンと閉じポケットに仕舞う。
俺に向き直ったかと思いきや何だかもじもじしてるぞ。
しかも顔が赤い様な気がするぞ。 熱でもあんのかな。
「えっ・・・と。さっき送っちゃったメール見なくていいからね」
は?送って来てそれか。 めんどくさいから見る気しないけど。
どうせくだらなさそうな内容ぽいし。
「・・・歩きながら話す。 一緒に帰るぞ」
と自分は『二年C組』と書かれた板が置いてある靴箱へ移動する。
俺の靴が置いてある場所まで移動したが——
広菜がいつまで経っても来ない。
同じクラスだからこっちまで来る筈なんだけど。
「・・・広菜?」
ここから死角になっているので居るかは分からないが、柱の方に声を掛ける。
「え、えっあっうん。 今、行く」
しどろもどろになりながら靴箱までちょこちょこと歩いて来る。
なんだ普通にいるじゃねぇか。 さっさとしろよ。
俺は怒ってるんだからな。 その「罰ゲーム」の事に。
もっとイライラが倍増されたぞ。 早く話したいんだよ。
俺と広菜は外靴を履き—朝の様に並んで歩き始める。
だがいつまで経っても広菜は無言だった。
俺も広菜が言い始めるまで話さなかったので微妙な沈黙が流れる。
・・・しょうがない俺から話すか。
「おいお前、朝の事だけどよ・・・」
「へっ!? あっうん何?」
俺の言葉に少しびくっとなった後しどろもどろに聞き返して来る。
「何で俺に時間の事言わなかったんだよ そのせいで罰ゲーム喰らったんだぞ?」
「おっ・・・おこっ、てる?」
「当たり前だろ あんな四時間打っ続けであんなのやらされて」
「えとごめんね! それは琉玖を試す為の『GAME』で・・・」
は?何言ってるんだ。 『GAME』って。
お前はゲーム好きさは分かってるが良く意味が分からない。
そんな事を考えていると広菜は「しまった」なんて顔して口を押さえる。
・・・もっと意味が分からないぞ。
「意味分かんねぇよ。 何が俺を試すんだよ」
「琉玖には関係ないよ」
ぷいす。 広菜がそっぽ向く。
何だコイツ。 子供みてぇだな。
身長も150あるかないか位でちっこいし。
「でも・・・遅刻させちゃった事は謝る。 ごめん」
「あ、悪いと思ってるんならいい。 別にもう怒ってないし」
広菜が泣きそうになり、慌ててそう言ってしまう。
まあ、広菜も反省してるみたいだし。 ゲームも貸して貰ったから許すか。
「そう・・・? なら良かった」
胸を撫で下ろしニコっと微笑む。
少し目が潤んでいて、頬が紅潮して——
—不覚にもコイツがとても可愛く見えてしまった。
広菜は顔だけは美少女だからな。 性格は抜きとして。
「あっ私こっちの道だから。 じゃぁね」
「お、おう。 じゃあな」
いかんいかん、変な事を考えてしまっていた。
幼馴染相手にそう思うとか変態だろ。俺。
「また会おうね」
広菜のこの言葉に不自然を覚えた。
だが広菜はすぐ路地を曲がり小走りで行ってしまった。
・・・まあいいか。 どうせ俺の勘違いだろ。
俺はさっそく家に帰ってゲームをクリアしなければな。
とバックを見て家に帰るのだった。
—『GAME』まで、後少し——