ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —GAME 鮮血の薔薇と漆黒の銃— ( No.9 )
- 日時: 2011/03/05 11:55
- 名前: 瀬蒼 ◆baXqm01I8Q (ID: WylDIAQ4)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
俺は目が覚めた。 真っ暗で闇の中。
目を開けても瞑っても、暗闇は変わらなかった。
まだハッキリとしない頭で天井を見つめる。
どうやら俺は真っ暗な空間で寝っ転がっているらしい。
少し頭を横にずらして右を見るが—真っ暗。
同様に左方向を確認するが、同じく何も見えない。 真っ暗だ。
——何だよ此処。 こんな所に来た経緯が全然思い出せない。
バキバキに痛む身体で何とか上半身を起こす。
頭も鐘がガンガンと鳴り響いている様な頭痛がする。
うろ覚えな記憶を辿り何とか思い出す。
えーと確か俺は家のリビングで広菜から借りたゲーム、『DARK.STORY』をやっていた筈だ。
と、慎重に細い記憶の糸を引っ張り出す。
夜中まで徹夜して自分も驚く程早くクリアした。 そしたらいきなり変な画面が出て来た。故障だか、バグか分からないが。
その時俺も混乱していたので断言は出来ないが、ゲームが何たらとか。
その後の事は如何しても思い出せない。
ぷつん。 と記憶の糸が此処で途切れてしまっていた。
今の出来事で何故今に至るのか。
—一瞬、頭に変な考えが過ぎった。
——俺はもしかするとゲームの中にでも入ったのだろうか。
自分で言っててそんな訳あるか、と突っ込んでしまう。
漫画の見過ぎだよ、馬鹿。 そう自分に言い聞かせる。
でもそうじゃないとしても此処は何処なんだ。
俺の部屋か? 夜一人で自分の部屋で寝てるのか。
いやそれはまず無いだろう。
もし帰って来た母さんや父さんがリビングに俺が寝ているのを見ても
部屋に運ぶのは高校生の俺を担いで階段を上り、長い廊下を歩いてベットに運ぶというかなりの重労働だ。
じゃあ、此処はリビングか、と思ったがそれも無いだろう。
俺がリビングで寝ていたとしてもリビングにはカーペットがしいてある。
今床を触っても何もない。 ただの硬い感触だけのコンクリートの様な感じだ。
だったら一体此処は何処なんだ——
そんな事考えたって答えが出る訳じゃない。
俺はもう一度この空間を見渡す。
前も右も左も後ろも上も下も。
全部が闇。 真っ暗だ。 自分の足さえ見えない。
俺は比較的目が良い。 夜目も利く方だ。
だが此処は何も見えない。 闇に包まれていて—見た者に恐怖を覚える。
俺は立ち上がる。 こんな所でボーッとしているよりも動いた方が何か分かるかも知れないからな。
まずはこの空間がどの位の広さなのかを確かめないとな。
と勢いよく見えない壁に向かって歩き始める。
今思ったが俺は何故此処まで冷静なのだろうか。
まあいいか。 混乱してパニックするよりも何倍もマシだ。
とそんな事を考えていた俺に——顔面に強く硬い鉄板の様なものがぶつかり、痛みが走った。
「痛ッ!?」
突然の衝撃に尻餅を着いてしまう。
何なんだ今のは! 今鼻が折れるかと思ったぜ。
その硬い鉄板の様なものに触れると—
——壁だ。 普通の壁紙の感触がする。
何だよ、以外に狭いな此処。
そのせいで思いっきり顔面強打したぜ。
俺はヒリヒリする鼻を押さえながら手を這わせ、部屋の広さを確かめる。
とその時指先に何かが触れた。
ツルツルしていて、壁から突き出ている物体の様な物だ。
と感触だけで何か確かめようとしてベタベタと触りまくっていると
—カチッ。という音がしたと同時に闇が光に変わった。
一気に目に入って来た光に目が暗闇に慣れていたので
眩しさで瞬時に目を瞑り、同時に腕で目を覆う。
数秒その体勢で目が光に慣れるのを待つ。
今のはなんだ
目が開けられる程度になった頃恐る恐る目を開く。
そこには——家具や窓、扉もない6畳程の部屋で、不気味なほど殺風景だった。
天井には裸電球が下げられ、壁は黒く着色されている。
そのせいで明かりが点いていても薄暗かった。
床はコンクリートが剥き出しで灰色の地面に灯りが不気味に照らされていた。
——一体此処は何処だ——
暗闇の時に放った言葉をもう一度呟くのであった。