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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白黒人間。 ( No.10 )
- 日時: 2011/02/19 22:23
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: VmnQ.FWP)
「馬鹿だろ、お前」
寝起きに、口調とついでに目つきの悪い梟から罵声を浴びさせられる田原優。
田原優は、梟を一回睨み、言葉を放つ。
「腹減った。ここどこだ?」
「昨日の場所と全く変わってないけど」
梟は眠そうな顔をして言う。田原優は辺りを見渡す。が、辺り一面森である。
「へぇ? 朝と夜でこんなに変わるもんなんだな」
田原優は、笑って梟に話しかけるが梟は言葉を聞かず、ただ樹の向こうを見る。田原優もその向こうに目を凝らすが、そこには緑しかない。
「お前、無視かよ」
「夜行性なんだよ寝かせろ」
田原優は、普通の笑みから不機嫌そうな顔にして梟に訊くが、梟はまた樹の方向を向いて、目を閉じる。横から見れば、樹を見てる梟にしか思えない。
「じゃないお前。昨日の話何なんだよ」
「昨日の? ……お前の力の事だったか?」
「そうそれ。何なんだよ一体」
「うーん……まあ、欲にまみれない程度に使え」
梟は一瞬口籠ったが、意味深な言葉が口から出た。
田原優は少し間を置き、言葉の意味を少し考えて、頷く。だが、その顔は意味不明の四文字が浮かんでいる。
「意味不明、か?」
「ああ意味不明だ」
梟の質問に即答する田原優。梟は微笑し、森の道に羽を広げる。
「真っ直ぐに行ったら、森を抜けられる」
その言葉に、田原優は驚愕し、梟はその顔を見て田原優を睨む。そんなに親切が珍しいのかと言いたげに。
そんな視線も気にせず彼は進む。出口へ、一直線に。
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