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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白黒人間。 ( No.11 )
- 日時: 2011/02/19 22:24
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: VmnQ.FWP)
森を出たら、そこは若草色の絨毯だった。
辺りには草が短く伸びている。後ろは深緑の不気味な森なのだが。
違和感。不思議な違和感が、彼の体を立ち止まらせる。
昨日の朝まで居た、あのほのぼのとした妖精たちの村じゃない。
田原優は、違和感の原因を考えつつ、草原を踏み、歩き出した。
彼の勘は外れていなかった。
なぜなら、そこは村と言うより町に近く、静かな雰囲気など一つも無いからである。
田原優は、騒がしいのが嫌いなのか、明らかに不機嫌と言った顔をし、町の中を歩く。
「すいません、ここはどこなんですか?」
すれ違おうとした主婦と見られる町人に、田原優は質問をする。
「ここ? ここはね、出会いの町さ。名前は無いけど、旅人が沢山集う。後、草原の真ん中に立つ町で有名だよ」
「そうなんですか、ありがとうございます」
丁寧にお辞儀をし、田原優は主婦らしき女性と別れ、一人で歩きながら思考する。
どうして自分はここに来たのか。田原優の頭はそれだけを考える。そして考えた結果として、二つの原因が出来た。
一つは、梟がわざと違う道を行かせたのか。
そしてもう一つは、田原優自身が持っている、想像を実現させる力。
彼が望んでここに来たのかは、田原優自身も分からないのだが。
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