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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白黒人間。 ( No.16 )
- 日時: 2011/02/25 21:38
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: j553wc0m)
賑やかな声が飛び交う街で、彼は突っ立っていた。
驚きと動揺を隠せない様に、彼はそこに棒の様にただ立っていた。
道の真ん中で立っている彼に街の人々がぶつかる。人々は、ぶつかった後に謝罪の言葉を残して先に行くか、彼を睨んで謝りもせず立ち去るか。十四回目に達した時、前者でも後者でもないパターンがあった。
「お前、ぶつかって謝りもしねーのかぁ?」
少し太り気味の中年男性が、偉そうに彼に問いかける。野次馬は、不安と情けの目で黒づくめの青年を見る。
が、青年はそれをものともせず俯いて黙っている。
「黙ってないで、なんか言えよ! 俺は盗賊なんだぞ!?」
その空気の悪い沈黙に、自称盗賊は怒鳴り青年の鳩尾を蹴り上げ、自身が強い事を主張する。
その行動で、やっと青年は顔を盗賊の方へ向ける。
「……いった。痛いの、久しぶりだ」
彼は、手で腹を摩り呟く。暫く摩って、手を離すと何かを構える。
それは、日本で有名な空手と言うスポーツ。の構え。
盗賊に蹴りを入れ、盗賊を背負い投げ——しようと持ち上げた。が、青年は盗賊を下ろした。
「——騒ぎ起こしたら、問題とかなりますか?」
身の危険をものともせず、彼は言う。くだらない事で騒ぎを起こしたくはないのである。
だが、盗賊を下ろした所で更に騒ぎが起こるのであった。
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