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Re: 白黒人間。 ( No.18 )
日時: 2011/02/28 21:22
名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: j553wc0m)

 「ゆ、う。何してんの」

彼女は、青年との再会に目に涙を浮かばせる。嬉しそうな、怒っている様な微妙な表情。
 その感動の再会を、盗賊とその他は不思議そうな目で見る。だがそれも束の間。盗賊はまた怒鳴り、銃の引き金を引こうとした刹那。
——金属がぶつかり合う音がして、盗賊が持っていた銃はいつの間にか地面に落ちていた。
 盗賊の目の前に居たのは、剣を持った少女と、怪我人と、野次馬たち。盗賊は目の前の光景を見て、呆気に取られていた。その間にヴィーナスと呼ばれた紫の髪を一つ縛りにした少女は、青年の手を取って騒ぎの場所から抜け出す。
野次馬たちの、ぼんやりとした視線が二人に向けられる。

 「さってと、病院行こう」

毛皮のマントを勢いよく脱ぎ捨て、自分より年上である青年をいとも簡単にお姫様抱っこをして持ち上げ、背中にある黄緑の有色透明の羽で空に浮かぶ。

「俺、歩けるって」
「怪我人は黙ってるのが正解。……本当、心配した」
「そりゃどーも。喧嘩別れしたからどうかと思ってたよ」
「嘘。アンタ私ともう会えないって思ってたよ」

ヴィーナスの発言に目を見開き、その次に微笑んで彼は言った。

「正解。エスパー?」
「ひっどい! アンタそう言う奴だから良いけどね」
「それよりヴィーナス、お前なんでこんなとこに」
「ただの買い物よ、買い物」

二人の会話は、病院に降りるまで続いた。