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Re: 白黒人間。 ( No.22 )
日時: 2011/03/07 19:16
名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: j553wc0m)

 「ただいまー」

ヴィーナスは、集落の様な村にある、テントや藁で組み立てられている自らの家の扉を開き、言葉を出す。

「お帰りヴィーナス。後ろの方は……っ!?」

美しい女性が、編み物をしながらいつも通りの過程を行った。綺麗な、落ち着いた笑顔で。ヴィーナスが連れている後ろの田原優には驚いているのだが。

「や、どうもお久しぶりで。アフロディーテさん」
「そ、その名前は……」

驚く彼女に、田原優は美の神様の名前を言う。彼女は、少し頬を紅潮させ照れる。
 アフロディーテ。目の前に居る、妖艶な美女の名前である。髪型は、水色の長い髪を金色の髪留めで高く上に纏めている。瞳の色は、ヴィーナスと同じく神秘的な藍色で、背中にある羽の色はこちらもヴィーナスと同じ有色透明の黄緑だ。
服装は、白を基調とした、青や赤紫と落ち着いた格好である。

 「でぃーちゃん綺麗だからいいじゃないのよー。私とお揃いで美の神様だしね」
「で、でも……」

ヴィーナスが友好的にアフロディーテに近づき、褒める。だがその言葉はアフロディーテには効果がない。褒められて喜ぶどころか、整った綺麗な顔を恥ずかしげに紅潮させ、困惑した顔を田原優に向けるアフロディーテだったのである。

 「そんなでぃーちゃんが可愛いッ!」
「ヴィーナス……恥ずかしい」

 照れるアフロディーテを見て、ヴィーナスは思い切り抱きつく。アフロディーテは、いきなり抱きつかれて一瞬よろめいたが、体制を建て直しヴィーナスに困惑の眼差しを向けた。
 田原優もどう接しればいいのか分からず、ヴィーナスとアフロディーテの仲睦まじい光景を微笑みながら見るだけであった。