ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白黒人間。 ( No.5 )
日時: 2011/02/19 22:18
名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: VmnQ.FWP)

 三日前。
 彼こと田原優は紫髪の彼女に介抱された。起きたら先程の様に顔の近くに一つの少女の顔。

「わーお、貴方って少し変わってるのね」

これが彼女の第一声。田原優の彼女への第一印象は『なんて失礼な奴』だった。だが命の恩人だから文句は言えない。

 だが。彼とは違う人種の彼女らには冗談すらも通じない様だ。ちょっとした冗談で怒ってしまうと言う現状。
 彼は黙ってただ佇んでいた。朝は朝ご飯でも食べるべきであるのに、彼は佇む。
何を考えていたのか、彼は猫背で部屋を出る。
 そして、朝食が用意されている広いテーブルとセットのイスに尻を置く。木製スプーンを手に取り、黙々と用意された朝食を口に放り込む。目の前で苛立ちながら頬杖をつく彼女。様子は上機嫌どころかそれ以下で、話しかけたら怒鳴られてもおかしくない程である。
 朝食を全て食べ終わり、その場を立って彼女に一声かける田原優。

「今日手伝う事ある?」
「……食器洗うだけでいいよ」

彼女が放つ、怒りの籠った声。それは明らかに田原優と言う人物と一緒に居る事を拒んでいる事が分かる。
 田原優は仕方なく、今日三回目の溜息を吐き、家の外へと出る。
彼が外に出ると、村人の突き刺すような視線が彼に向けられる。だがそれをものともせず、彼は村の外へ出る。
 彼は足をフラフラとさせ、引き込まれるかの様に森の方向へ向かう。