ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔法 4 〜沙耶の過去〜 ( No.16 )
- 日時: 2011/02/07 17:53
- 名前: ゆう (ID: pkkudMAq)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?594830
3話 夢 <下>
出来事は、サアヤが部屋に入った瞬間に起こった。
「うわぁ!!」
「!?」
リモンは、悲鳴を上げた。
顔が、焼けるように熱い…と。
サアヤは、すぐに部屋を飛び出した。
父の事が気になって仕方ないから。
「パパ!?大丈夫??」
「サアヤ…?」
後ろに、マアヤが立っていた。
「喉でも渇いたの?お水、入れようか?」
「え?パパが…」
マアヤは、眉をひそめた。
「パパがどうしたの?パパはもう眠っているわよ?」
「でも、パパが叫んでた」
マアヤは、笑顔になって、
「きっと、寝ぼけていたのね。サアヤ、相当眠いんじゃない?」
「ホントだよ!!」
反論するサアヤの背中を押し、部屋に連れて行った。
「ブレイク」
魔法解除の呪文を唱えながら。
=翌日=
次の日、リモンは死んでいた。
死因は、心臓麻痺。
なくなった時刻は、今から、8時間前。
ちょうど、サアヤがリモンの叫び声を聞いた時間に当たる。
「パパ…パパ…」
「サアヤ…」
マアヤが、泣きそうになったとき、マアヤは、目まいがした。
疲れているのかしら?そう思った直後、悪夢は襲った。
「うっ…う…」
「ママ!?」
サアヤは、胸を押さえながら倒れこんでいくマアヤを見ることしかできない。
「サ…アヤ」
マアヤは、最後の力を振り絞って、喋りかける。
「何?ママ。何でも言って」
「私の力をあげるから、たくさんの幸運を集めて私達を生き返らせて…」
それを言ったら、マアヤはゆっくり目を閉じた。
ただ、眠るだけのように、また、目を覚ますかのように。
「ママ!!目を覚まして!!ママ!!ママ!!」
サアヤは、母を呼ぶ。
目を覚まして、と…。もう、二度と目を覚まさない母に、サアヤはずっと呼びかける。
そして、サアヤは決心した。
必ず、幸運を集めて、母を…そして父を生き返らせると…。
「待っててね。ママ…」
幸せそうな母にそう呟いたサアヤであった。
3話 END