ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 展望。 ( No.1 )
- 日時: 2011/02/10 21:59
- 名前: 早人 ◆Un/8Xno9rI (ID: d8VBwGf9)
どうやらこの世界で、自分の存在を疎ましく思わない者は一人としていないらしい。
それが、彼が丸々15年かけて導き出した結論だった。
こんな簡単な結果にあんな長すぎる過程が必要だったのか、と自分でも考えはしたが、それでもそこに辿り着いたのはケーキもなければ祝いの言葉もない15歳の誕生日。ふと街を歩いていた時にそれは頭の中にすとん、と小気味良い音を立てて入ってきたかのような錯覚を覚えるほど突然にその結論に辿り着いたのだから。そう思うとなぜ今まで生きてこれたのかが不思議になってくる。誰かが世話をしてくれないと生きていくことすら出来ないはずの弱い人間であるというのに。
……そんなことはどうでもいいんだ。
そう。問題はそんな面倒くさいことではなくて、自分が今置かれている状況とその結論だ。とりあえず結論については後回しでもいいとして、この状況はどういう風に考えれば良いのだろうか。
古いとはいえ固いコンクリートで出来ていてそう簡単には壊れないであろうマンションの階段が、自分が上がってきた直後に音を立てて崩れたのだ。……なんだこれは。夢か?
そう思ってベタに頬を叩いてみても目は覚めず、そこは確かに自分の住んでいる安いマンションの階段の踊り場だった。
……どこがどうしてどうなってこうなった?
ぼんやりと考えても分かる筈もなく、とりあえず家に入ろう、と鍵を取り出して穴に差し込み、玄関の扉を開けてみると、
……どうやら、今日は可笑しな事が良く起こる日らしい。かなり前に縁を切った筈の両親の死体が、沢山の赤い液体と一緒に転がっていたのだから。……さて、この場合自分はどういう行動をとればいいのか。特にショックを受ける訳でもなく、普段よりも冷え切った頭でそう考えてみても、浮かぶ言葉は一つだけだった。
……とりあえず、今日は掃除が大変そうだ。
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何かがおかしい。