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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 戦國Love story ( No.7 )
- 日時: 2011/02/10 20:56
- 名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)
第弐章 「無限の夢」
長篠の戦いで、私の知名度は一気に上がった。忍としてはあまり嬉しい事ではない。
私の名前は仲間しか知らない。外部の人間は何も知らない。故に、外部の者は私をこう呼ぶようになった。
紅き蝶
何処に居ても目立つ真紅の瞳と、蝶のように華やかな美貌。蝶のように静かなたち振る舞い。
だが、その蝶が現れた地は、紅き血で染まる。蝶が華の蜜を吸うように、肉を喰らって行く。
上品な意味と、秘めた狂気を表した褒め言葉。
「世間はお前を“紅き蝶”と褒め称え、同時に貶しておるなぁ」
私が信長様に重宝されているのを恨んでいる者は、こう皮肉った。
正直、私は仲間にどう思われようと気にした事はなかった。私にとって、本当に必要なのは信長様だけ。
信長様さえいらっしゃれば、私は何処ででも生きて行ける。信長様が地獄に堕ちるなら、私も共に堕ちる。
───狂った忠誠心かもしれない。信長様はそんな私を迷惑に思っているかもしれない。
それでも、そう思わずにはいられない。私は信長様の中で存在していると、信長様に認められていると───。
そ う 思 い た い
そう思わなければ発狂するかもしれない。できれば、信長様が本当に私を認めて下さっていたら嬉しい。
でも、過ぎたる願いなのだ。差別される女の分際で、憐れな孤児で……。
信長様は幼かった私を憐れんで拾って下さっただけかもしれない。
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