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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 戦國Love story ( No.8 )
- 日時: 2011/02/10 22:29
- 名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)
「迷夢、少しいいか」
信長様のお声。次の戦の密偵だろうか。
「はい、大丈夫です」
信長様の自室に行かれると思いきや、信長様は縁側に腰かけた。そして、私に視線を投げかける。
隣に座れ、と言う事であろう。長年お仕えしていれば解る。
「実はな、いつまで嫁を持たずにふらふらしているのだ。と重臣に言われた」
今更政略結婚のできる姫などいない。殆どの姫は政略結婚で様々な武将に嫁いだ。
信長様の妹君、お市様もその一人。お市様は幸せに暮らせているようだが。
「お前さえ良ければ俺に嫁ぐ気はないだろうか?」
信長様が真剣な目で私を見つめている。こんなこと今までなくて、私は困惑してしまった。
殿方から想いを告げられる事は何度もあった。でも、信長様の想いには、一番心動かされた。
「あっ……」
自分でも珍しく動揺したと思う。出来る事なら信長様の視線から逃れたかった。でも、出来ない。
蛇に睨まれた蛙の気分に、自分が成るとは思っていなかった。
「お前は俺に忠誠しか抱いていないかもしれぬ。だが、俺はいつしかお前を女と見てしまうようになった」
私の思いは、信長様への忠誠? それとも、愛情? 誰か答えてくれたら嬉しい。
でも、誰も答えてくれない。答えは自分の中にしかない……。
「もう少し、お時間を下さりますでしょうか」
今すぐに何て答えられない。私は……。きっと泣きたいくらい辛い。
でも、泣く術など誰も教えてくれなかった───。
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