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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 戦國Love story ( No.10 )
- 日時: 2011/02/11 09:31
- 名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)
第参章「胡蝶ノ儚キ夢」
光秀公の兵約1万3000にして、信長様の軍は約500。そして城はすでに包囲され、防戦一方。
どんどん攻め入る光秀公の兵。敵は本能寺にあり、として謀反を起こした。
主力になる者は少ない。すでに自刃した者もいる。他は文官や戦経験のない女衆。
信長様は弓を手にし応戦。私は身に付けてた苦無しか持っていない。
その武器で応戦するにはあまりにも不十分だった。
やがて信長様が手にした弓の弦は切れ、私の苦無も刃毀れでぼろぼろになって行く。
死んだ敵兵から槍を奪い、それで必死に応戦した。これほど緊張する戦を経験した事はない。
「ぐっ……」
殺到した兵から槍傷を受ける。さほど深いものではなさそうだった。
だが、信長様は兵に退却命令を出した。勿論、私にも。
殺到する敵兵から逃げ惑う味方。逃げきれず、死んだ者もいた。
「お前もだ、迷夢」
信長様の手が、私の背中を押す。私は重い足取りながらも、信長様の命通り、本能寺を逃げようとした。
ゆっくりと本能寺を退却していく自分の足。信長様の命に従うか、己の信念を貫き、信長様と共に死ぬか。
振り返れば、自室に戻る信長様の姿。火を点けようとする蘭丸の姿。
「信長様……っ!!」
私の足は本能寺へ引き返していた。信長様の自室に向かって。
止められるとは思っていない。だが、私は地獄の果てまで信長様に付いて行くと決めた。
誰も私の決意は変えられない。
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