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Re: 戦國Love story ( No.11 )
日時: 2011/02/11 15:16
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)



「信長様!」

信長様は、燃え上がる本能寺で切腹しようとしていた。

「迷夢……。逃げろと命じた筈だ」

顔はこちらに向けてくれない。敗者の背でも、やはりいつもの堂々とした雰囲気があった。


「私は……。この迷夢は、信長様のいらっしゃる場所になら何処までも」

燃え盛る本能寺で、いつものように片膝をついて頭を下げる。忠誠の証。


「お前は……。そこまで我に忠誠を誓うか」

死の果てまでも付いて来ると言うのか。愚かしい真似だ。


「我はただの敗者に過ぎぬ。このような男にいつまで忠誠を誓う」

天下まであと一歩。我の意志を継いで天下を獲ってくれぬのか。ここで共に散ると言うのか。


「信長様あっての迷夢です。貴方様がおられぬこの世に未練などありませぬ」

煙と炎で頭がくらくらしてくる。このまま死んでも構わない。信長様の隣なら……。

「ケホッ、ケホッ……」


「迷夢……! 今すぐ退け」

私の席を心配した信長様は私の身体を支え、本能寺を退却しようとする。


「信長様もご一緒です。私を逃がすなら信長様も……」

信長様も共に生きて下さい。そう言えたら嬉しかった。でも、咳が邪魔をする。


「謀反された人間として恥を晒して生きて行くなら、死んだ方がいい」

是非に及ばず。自分はそれだけの人間。光秀に恨まれ、光秀に殺される人間……。


       
         「では迷夢も共に死にます」