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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 戦國Love story ( No.13 )
- 日時: 2011/02/11 15:42
- 名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)
迷夢は、一人で光秀の暗殺に向かうと言った。それも今晩。早く失った兵を取り戻したいと言う事で。
「よかろう。無茶はするな」
迷夢なら光秀如き一撃で打ち取れるだろう。今や俺の死を喜び、酒を飲み交わしているところであろう。
「御意」
信長様の前から姿を消し、光秀公のいる天王山まで全速力で向かう。
本当に自分は底なしの体力だと思う。どれだけ動いても疲れを感じない。
そしてあっという間に天王山まで着く。城の明かりは未だ消えず、成功に酔っている光秀公が想像できた。
光秀公は自室にいるらしい。天井裏を音を立てずに移動しながら、光秀公の部屋の天井を外す。
音もなく訪れる私に全く気付かず、ただ外をじっと見ていた。
「……光秀公」
その声に驚いたらしく、肩を震わせた。そう、もう聞ける筈もない織田信長の重臣の私の声。
迷夢なら信長と共に死ぬ、と読んでいたのだろう。本当に驚いているようだった。
「貴方は……。迷夢ですか……!?」
私の存在が亡霊かどうか確かめるように、穴が開くほど見つめてくる。
「織田信長公の命により、明智光秀」
“織田信長”その名が出て更に驚いたようだった。仇を取りに来たと思っていたのか。
その瞳が恐怖に見開かれている。己の罪の重さを感じたのか、うっすらと涙を浮かべていた。
「お命、頂戴致す」
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