ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 自爆スイッチ。 ( No.3 )
日時: 2011/02/09 19:01
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

#2


「じゃあ次俺。」

と、整った顔立ちの男が言った。
全身黒ずくめで、まるでマンガに出てくる人のようだ。

「俺は斎藤亮喜。歌手で、ツアーで名古屋に向かってるはずだったんだが、
 なぜかこんなところに来てしまった…まあヨロシク。」

「歌手ってどんな歌歌ってるの?」

「んー、まあだいたいはロックかな」

「ゴホンッ。じゃあ次は私が行こうとするかな。」

四十代、五十代ぐらいの男性が自慢げに髭を指で触る。
腕時計はダイヤがびっしり付いていて、指輪もしている。
とても裕福な人間らしい。

「私は矢島聖也。趣味は小説を読むことと、二歳の孫と遊ぶことだ。」

「じゃあ次はだれ?早くしてよ。」

偉そうに女はゆうと、頭に掛けたサングラスの位置を変えた。

「僕。僕は永井 信。二十歳です。今はまだ仕事は無いけど、将来の夢は
立派な医者になりたいと思っています!」

「じゃあ最後は—————」

「俺だ。」

身長は高く、あのひょろっとしたサラリーマンとはまるで逆だ。
顔は美しく、目は銀色っぽく光っている。
壁にもたれかかっていたが、こっちを向いて歩きだした。

「月詠だ。」

・・・

「えっ?それだけ?何か言いなさいよ?」

「趣味とか職業とかないの?」

男は黙ると、ゆっくりと口を開いた。

「そうだな、じゃあ一つ。俺はこの『ゲーム』に参加するのは二回目だ。」

「————!!」

「ゲームって…あんたここ、知ってんの…?」

一番此処から出たそうにしているモデルの女は、
月詠に詰め寄った。

「ああ、第 一 回 の 生 き 残 り だ。」

「第一回?生き残り?なにを言っているの?もっと詳しく教えてくれる?」

男はニヤリと笑うと、少し大きい声でこう言った。

「お前らは今から命賭けのゲームをするんだ。
 絶対にあきらめたりしてはいけない。
 俺はお前らの事を何でも知っている。」

「は?」

モデルの女は機嫌の悪い顔をして、月詠を睨んだ。

「生意気なモデルの事も、
 頼りないサラリーマンも
 ゴスロリ衣装の芸能人も
 仕事がないフリーターも
 金まみれのオッサンも
 なんでも知っている。」

「あんたっ!なにさらっと失礼な事言ってんのよ!?」

「そうですよっ…確かに僕は頼りないが、自分では頑張ってるんだよ!」

「金まみれって失礼なこと言うね君!なりたくてなったわけじゃないさ。」

皆は一気に五月蠅くなった。

「早くここから出してよ!!なにするつもりなのよ!?」

「そうだよ!!早く出せよ!!」


ブツンッ

—————————電気が消えた。

真っ白の壁も一瞬にして真っ黒になった。

「なっなに…?」

「ヤダ、怖ぃ…」

パッ

電気は再び付くと、奇妙な声が聞こえてきた。


≪皆さん、起きられましたね。こんにちは。私司会者のレムでございます。≫

「!?」