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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 自爆スイッチ。 ( No.8 )
- 日時: 2011/02/12 16:33
- 名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)
#5
さっきまで五月蠅かった会場には冷たい空気が走った。
不穏な空気の中、歌手の男性が自分の腕時計を見た。
!
(11時40分———・・・)
男は焦った。
自分の死亡推定時刻まであと15分なのだ。
だがこれは推定であるため、絶対にこの時間に死ぬ、という保証はない。
しかし、先ほどの女性は推定通りの時間に死んだ———・・・
そして男は死にたくない。という欲望にかられた。
誰かが次のスイッチを押してくれれば、俺は推定通りに死なないで済むかもしれない・・・
誰かが死んでくれれば・・・
男は周りを見渡した。
月詠はあいかわらず無表情で壁にもたれかかっていた。
他の連中も、下を見たり座り込んでいる。
背中に冷たい汗がつたった。
とその時。
≪皆さん。一人の方がお亡くなりになられてから、5分が経ちます。
このままスイッチに反応がない場合はこちら側で押す人を選ぶことになります。≫
「えっ・・・?」
静かな空間で、男の声があがった。
他は関係のない顔をして俯いている。
(そんなの絶対に俺が選ばれるにきまってるだろ!?だって俺の推定時刻は後10分なんだぞ!)
男は行動に出た。
「おい!誰か押せよ!このままじゃ勝手に押す奴決められんだぞ!」
と必死に言ったが、
「・・・もういいじゃん・・・」
「そうですよ・・・僕達にはもう死ぬしかないんだから・・・」
「ほうっておいたらいいじゃないか・・・」
皆は話を聞こうとしない。
プツッ
また放送がかかった。
「!!」
(まさか・・・)
≪皆さん。さっきの放送から約3分が経ちました。
約束通りこちら側でスイッチを押す方を決めさせていただきます。≫
ああ・・・もう何もかも終わりだ・・・
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