ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 自爆スイッチ。 ( No.12 )
日時: 2011/02/12 18:03
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

#7


「うっ・・・さようなら・・・」

サラリーマンの男は人差し指を立て、それをスイッチの上に軽く置いた。
そして意味ありげにこちらを見ると、またスイッチに向きなおった。

「押します・・・」

男性は震える指にぐっとちからを加えた。

カチッ・・・

小さい音が聞こえた。

ガシャン。

「!!」


天井から先のとがった斧が2本、両側から降りかかってきた。

「ギャァ!!やめろ!」

狙われたのはサラリーマンの男ではなく、
歌手の男だった。

「なんで俺なんだ!!押したのはあいつなのに!」

逃げようとしたその瞬間、男の頭を刺す鈍い音がした。

「・・・」

そしてもう一方の斧も男の胸を見事に狙い、体は血まみれになった。
男が静かになったところで、斧はゆっくりと上に上に上がっていく。
そして斧は天井にあいた穴に収まると、音を立てながら穴が閉まった。

床には男の血が残っている。

「うわぁ!!僕が殺したんだ!!」

「なにを言ってるの?あなたはスイッチを押しただけじゃん。」

「そうですよ?・・・さっきもあいつにひどいこと言われてたし、別に死んでも良かったんじゃないですか?」

今まで静かだったフリーターの男がそう言った。

「うんうん!あんな奴いなくなって生々するわ!!」

50代の男性も続いてそう言った。

「でも・・・」とサラリーマンの男は俯くと、顔を手で覆った。

≪斎藤亮喜様。お疲れ様でした。予告通り、11時55分死亡です。≫