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Re: ─A R C A N A─6話訂正 ( No.10 )
日時: 2011/02/12 11:39
名前: 鷹の目 (ID: BZFXj35Y)

【6.ヨルゴ=ロンピエール】



 翌日



昨日の様々な出来事をどうにか受け止めた春は、重い身体をベットから起こした。
いつもの通りに学校へ行く準備を終えると1階へと降りる。奈々はすでにおらず、朝食だけがリビングに用意されていた。
「今日は………卵焼きにご飯と茶か…………」
春は椅子に座って箸を取ってすぐに食べ始める。10分弱で食べ終え、そのまま2階の自室へと戻った。
自室に戻り、パジャマの上を脱ぐ。相変わらず、右腕の中央部分には痛々しい#Rと浮き出た痣が残っている。

「シップ張っても無駄だろうな。このまま行くか。」

春は学生服に着替え、鞄を持ち玄関へと向かう。鞄を玄関の前に置き、仏壇の部屋に入った。
仏壇の前に座ると、合掌して目を閉じる。
「行ってきます。」
春は仏壇に飾ってある母と父の写真に言うと、玄関に向かい自宅から出た。


          **********


自宅から出て、いつも通りの見慣れた道を進んで行く。大通りに出て、再び小道に入った。
そして、学校に行く途中通る商店街に入った。
“活気溢れる 勝山商店街!”と書かれたアーチの下を通り、春は商店街の店を見ながら足を進めた。
朝7時過ぎには、全ての店はすでに開店しており、慌ただしそうに店員が動いている。
果物屋、野菜屋、肉屋、本屋、老舗のゲームセンター、多種多様な店が立ち並んでいて、昼には大賑わいだ。
春が商店街を抜けようとすると、目の前に地図を持って辺りをキョロキョロ見回す外国人が現れた。


「Oh!!すいまセーン!!そこのBOY!!!」


金髪のツンツン髪に瞳の色が赤色のフランス人が、春に駆け寄ってきた。春は一瞬戸惑うが、一応対応する。
「えっと………どうしましたか?てか、日本語分かりますか?」
「大丈夫デース。それより、ワタシはちょっと迷いましたネ。教えてくれまセンカ?」
フランス人は持っていた地図を春に手渡した。
春が地図を見ると、それはこの地区周辺の地図であった。地図を見ると、ある場所に赤いペンで目印が付いてある。
「ここはですね…………え?」
春は地図を見て呆然とする。地図の目印は、春の自宅に付けられていた。







「Youが白宮春BOYですネ♪」







フランス人は不気味な笑みを浮かべて言うと、自身の両手を春に見せた。両手の平を見た春は言葉を失った。





「#………………I……………!?」





フランス人の右手の平には“#”、左手の平には“I”と赤い痣が浮き出ていた。それは、春や遊里と同じ痣であった。
「ワタシのNameはヨルゴ=ロンピエール。あなたを殺したいと思いマース。」
ヨルゴは笑顔で言うと、右手で春の学生鞄を掴んだ。春は突然の出来事に動けず、ただただヨルゴを見つめていた。


「私のPowerは“崩壊”………、触れた物体はガッシャーンデース!!!」


ヨルゴが叫んだ瞬間、春の学生鞄が砂の様にボロボロと崩れていく。春は小さな悲鳴を上げ、鞄を投げ捨てた。
「な、なんだお前………だ、誰だよ……………」
「Youは#Rの称号者ですネ?」







「死んでもらいマス。」







ヨルゴは不敵な笑みを浮かべて、春に向かって走り始めた。春は身動きがとれず、恐怖で足が竦んでいた。
ヨルゴは春の目の前まで一瞬で来ると、春の顔に両手を伸ばした。その直後だった。


「うりゃぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


ヨルゴのわき腹を蹴りながら、春の横から久弥が現れた。ヨルゴはそのまま吹き飛び、路地道へと転がり込んだ。
「お、おい!!春、あいつ誰だ!?」
「に、逃げないと………久弥!!学校まで走って!!」
「はぁ!?」
春は地面に落ちているボロボロになった鞄を見ながら言った。そして、商店街を抜けて学校へと走って向かった。
久弥も春の後を追って学校へと向かったのだった。



「Kidsはこれだから………嫌いデス…………Heavenに逝かしてやるョ…………」


路地道から出てきたヨルゴは口から流れ出した血を拭き取り、2人の後を追った。