ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─A R C A N A─7話更新 ( No.11 )
- 日時: 2011/02/12 16:03
- 名前: 鷹の目 (ID: BZFXj35Y)
【7.#Rの能力】
「が、学校に逃げ込めば…………追ってこないだろ!?」
商店街を抜け、目前に見える楠木学園を見ながら春は、並んで走っている久弥に言った。
久弥は無言で頷く。2人は息を荒げて学校に向かって駆ける。後ろからは、#Iの称号を持ったヨルゴが追いかけてきた。
「関係のないKidまで…………皆殺しデス。」
ヨルゴはポケットに手を入れ、色鮮やかなビー玉を10個取りだす。そして、そのビー玉を2人めがけて投げた。
「教えてヤル…………崩壊は、爆発物にもなりうりマス♪」
ビー玉が2人に迫った瞬間、ヨルゴが指パッチンをした。その瞬間、ビー玉が轟音をあげて爆発した。
「うわっ!!!」
「ぐっ……………」
春は前に向かって派手に倒れ、久弥は民家のコンクリート塀に叩きつけられ気絶してしまった。
春は大慌てで立ち上がり、目の前に立っているヨルゴを見る。
「どんな物体にも原子核が存在シマス。崩壊を終えた原子核には過剰なEnergyが残存シマース。」
ヨルゴはポケットから1個の赤いビー玉を取りだす。そして、ビー玉を自身の頭上に投げた。
「ワタシはそのEnergyを崩壊させ爆発を引き起こス。崩壊を侮ってはいけマセン。」
ヨルゴは落ちてきたビー玉をキャッチすると、そのまま春に投げ飛ばした。春は再び襲ってきた恐怖で足が動かない。
「Littleなboyを殺すのはHeartが痛いですが、‘あのお方’の命令デス。悪く思わないで下サーイ。」
春の目の前に赤色のビー玉が迫ってきた。その距離1メートル。ヨルゴは右手を指パッチンの体勢に変える。
「く、くそ…………死ぬわけには………奈々を置いて死ねるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
春はビー玉に向かって右手を拳に変えて殴りかかる。
「馬鹿ですネ!!粉々に散レ!!!!」
ヨルゴは躊躇なく指パッチンをした。
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「………うっ………え?あ、あれ?」
春はゆっくりと目を開けた。目の前には、ヨルゴが唖然とした表情で春を見ていた。飛んできたビー玉はどこにもない。
「な、何が………攻撃を止めた………?」
春はジリジリと後ろに下がる。ヨルゴはパッチリと目を開け、じーっと春を見ていた。数秒経ち、ヨルゴは口を開けた。
「な、なんだ……今のは…………それが……YouのPowerか…………」
ヨルゴはの視線は、なぜか春の下に向けられていた。春は意味が分からず、ヨルゴの視線の先を見た。
見た瞬間、春は言葉を失った。自分の両手が黒く染まり、何やら黒い煙の様な物が漂っている。
「これは………………手が………」
春は黒く染まった自分の両手を見つめる。その直後だった。右手の甲から、何かが飛び出しヨルゴに向かって飛んだ。
ヨルゴは両手でそれをキャッチする。それは、ヨルゴが春に向かって投げた筈の赤いビー玉だった。
「#RのPower………闇夜…………か…………」
ヨルゴはそう呟くと、ビー玉をポケットにしまい、なぜか「パチパチッ」と拍手をする。
「Youを殺すために来たのに、まさかPowerを与えるなんて。また会いまショウ。」
ヨルゴはそう言うと、振り向いてコツコツと歩いて行った。春は何も言えず、とりあえず気絶した久弥に駆け寄った。
「久弥!!大丈夫か!?」
「うっ………イテテ…………あれ?あいつは?」
「逃げたよ。もう大丈夫。」
春は久弥を立たせ、久弥は頭を振りながら大きなため息をついた。春には何のため息なのか分からなかった。
「大丈夫か?」
「あぁ、ただ頭を打っただけだ………学校に行こう。」
「そうだな。」
春は久弥の鞄を持ち、目の前にある楠木学園と向かったのだった。